■■SAO編 主人公:マルバ■■
四人で紡ぐ物語◆グリームアイズ
第二十九話 コーバッツ
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ろうが、なぜそんな記録用アイテムひとつにクイックチェンジのスロットを一つ割り当てているのだろう?
わずかに疑問に思ったマルバだが、先に作戦の方を優先することにして、自分の分担を確認する。
「それじゃ、僕とシリカ、キリト、アスナが遊撃だね。ボスの背後に回ると脱出が大変になるから、それだけは気をつけよう」
「了解。それじゃ、各自武器の確認を……」
「キリト君、《軍》よ!」
アスナがキリトの言葉を遮った。皆が急いで入り口の方を見る。ミズキは急いで分厚い書籍アイテムをストレージに収納した。
果たしてそれは《軍》だった。一人の男が指示を叫ぶと、全員が心身ともに――ここにおいては心と身体は同じものかもしれないが――消耗しきったように地面に崩れ落ちる。
指示を叫んだ男がこちらにやってきた。重々しく口を開く。
「私はアインクラッド解放軍所属、コーバッツ中佐だ」
なんと、《軍》という俗称はいつの間に正式名称になったのだろう。その上、『中佐』と来た。
「マルバ、《リトルエネミーズ》所属」
「キリト、ソロだ」
とりあえず前にいた二人が短く名乗り返す。コーバッツと名乗ったプレイヤーは大仰に頷くと、二人に尋ねた。
「そうか。君らはもうこの先も攻略しているのか?」
「ああ、ボス部屋の前までマッピングしてある」
「うむ。ではそのマップデータを提供して貰おう」
それが当然だ、といった表情で言い放った男に一番驚いたのはマルバたちだった。
「て、提供ってアンタ……自分がなに言ってるのか分かってんのかよ!?」
食って掛かったミズキに男は平然と宣言した。
「我々は君ら一般プレイヤーの解放のために戦っている! 諸君が協力するのは当然の義務である!」
あきれて言葉も言えないとはまさにこの事だった。全員が抗議しようと口を開き、そのままの態勢で固まった。反論点が多すぎて言葉が出てこないのだ。
そんな中、アイリアが何かに気づいたように言葉を発した。
「あれ、どっかで会ったことありますよね?」
「む? そうか? 私は覚えがないが」
「いいえ、確かにどこかで会ってますよ。その口調聞いたことあるもん。どこだったかな、はじまりの街あたりだった気が……」
「始まりの街……? あ、貴様ら、まさか!!」
「あー!! あの時の小佐だ! 昇進したんですか!?」
「そんなことはどうでもいい! あの時のオレンジの仲間か!!」
コーバッツの口から『オレンジ』という言葉が出てきて初めて、マルバはコーバッツへの既視感の正体を悟った。
圏外村パニでシリカがアイリアのHPを減らしたため、一時的にオレンジプレイヤーになってしまったことがあった。一旦カーソルがオレンジになると、信用回復クエストを受けなければグリーンカーソルに戻ることはできない。信
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