雪辱編 ウルトラアキレスファイト
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「まさか、こんな形での紹介になるとはな。……彼がお前に技を教えてくれる『教官役』だ、嵐真」
「えぇっ……!? こ、この子がっ……!?」
少年の名は風祭弓弦。今は亡きBURK最優秀隊員風祭勇武の息子にして、弱冠14歳で入隊試験に合格したこともあるエリート高校生。
そして――今から約1年前、ウルトラマンカイナと一体化して恐竜戦車の侵攻から地球を救った人物でもある。彼こそが、琴乃が言っていた格闘術の教官役なのだ。
静かに2人の前に歩み出た弓弦は、琴乃と頷き合うと嵐真の目を真っ直ぐに見つめる。17歳の少年とは思えないその眼付きに、嵐真は思わず息を呑んでいた。
「彼の父……風祭勇武は、BURKでその名を知らぬ者は居ないと言われている伝説の隊員であり、現代のBURK式軍隊格闘術を編み出した『開祖』でもあった。その息子である彼自身も、父が作った格闘術の真髄を完璧にマスターしている。私や弘原海隊長も格闘術の心得はあるのだが……達人などと呼べるほどの域ではなくてな。そこで、隊長が彼に声を掛けて下さったのだ」
「……あのツルク星人の脅威は、誰にとっても他人事じゃないんです。協力させてください、暁さん」
「……」
2人の言葉に嵐真は拳を震わせ、ただ俯いている。だが、それは恐れによるものではない。人々を守り抜ける力を欲していた彼にとっての「希望」が、ようやく現れたことへの昂り――武者震いによるものであった。
「……嵐真でいい。頼みたいのは俺の方だよ、弓弦君。今すぐにでも教えてくれ、君とお父さんで作り出した……格闘術をッ!」
◇
――それから、さらに数日後。
東京湾に再出現したツルク星人は街一つを滅ぼしただけでは飽き足らず、今度は東京を蹂躙しようとしていた。
東京ゲートブリッジに迫るツルク星人の凶悪な面相に、人々は悲鳴を上げながら我先にと避難している。
『デュワッ!』
その侵攻を阻止せんと現れた真紅の巨人――ウルトラアキレスは、前回の戦いからは想像もつかない動きの冴えを見せ、ツルク星人の刃をかわしている。海に足を取られている状況でありながら、彼は上体の捻りだけで斬撃を回避していた。
『デュッ! ダッ、ダアァアッ!』
刃の軌道を見切り、刀身の腹に手刀を当てて斬撃をいなし、その隙を突いてチョップの乱打を繰り出す。そんな彼の戦い振りは、1年前の戦いで恐竜戦車を打ちのめしていたウルトラマンカイナを想起させるものであった。
ゲートブリッジの上から、その戦況を独り見守っている弓弦は――頼もしい「後輩」の成長に、微笑を浮かべている。
「……さすが、ウルトラアキレスに選ばれた人だな。オレの格闘術をほんの数日でほとんどマスターしてしまうなんて」
1年前の戦
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