第六十話 合宿を前にしてその八
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「もう」
「そうでしょ」
「選挙じゃなくて暴力でそうしたいって」
「勿論他の人の考えもよ」
「否定してるわね」
「選挙の結果大勢になったらね」
そうなればというのだ。
「その人達の意見の多くがよ」
「通るのが民主主義ね」
「勿論少数の人達のお話も聞かないと駄目だけれど」
「自分達の意見を暴力を使ってでも押し通すなら」
「他の人の意見はね」
「その暴力で潰すわね」
「そうしてでも」
母はさらに話した。
「自分達の望む政府を作るっていうのが革命で」
「学生運動の人達もなの」
「やたら民主主義って言いながら」
口ではだ、実際に彼等は何かあるとそう言っていた。それと共に革命だの武力闘争だのと常に言っていた。
「そうだったのよ」
「本末転倒ね」
「まさにそれでしょ」
「ええ、それでああした格好してたの」
「そうよ、昔はね」
「いや、全然ね」
まさにとだ、一華は話した。
「格好良くないわ」
「恰好悪いでしょ」
「そんな人達よりもね」
それこそと言うのだった。
「お巡りさんや自衛官の人達の方がよ」
「恰好いいでしょ」
「遥かにね」
「そう思うが多分普通よ」
「誰かを、何かを守る」
「そうした人達の方がね」
母も言った。
「恰好いいっていうのが普通よ」
「そうなのね」
「というか暴力使ってでも自分の望みを適えたいってね」
「それだけで駄目ね」
「こうした人には注意しなさい」
「若し私が付き合っても」
「あんたが思い通りにならないと」
その者のというのだ。
「普通によ」
「殴られたりするわよね」
「だからね」
そうなるからだというのだ。
「暴力振るってでも自分の望み押し通したい人は」
「そう言って実際に暴れるなら」
「もうね」
それこそというのだ。
「お付き合いしないことよ」
「お友達でもなのね」
「出来るだけね」
「そうですか」
「さもないとあんたもね」
「暴力受けるわね」
「そんな人になるなら」
それならというのだ。
「自分がね」
「それも嫌よね」
「学生運動って女の人もやってたのよ」
リーダーの一人でもいた位である。
「何をどう間違えたかね」
「民主主義だと言って」
「暴力に訴えようとして」
「実際に暴力も振るってたのね」
「棒振り回してね」
そのゲバ棒をだ、元々ゲバはドイツ語で力を表現するゲバルトが語源である。つまり最初から暴力を前提に置いていたのだ。
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