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小柄な次女の成長
第一章

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               小柄な次女の成長
 サラリーマンの長友貴一、黒髪をショートにして面長の顔と小さな口と目を持つ一八〇程の背の痩せた身体を持つ彼は弟で工場で働いている自分によく似た外見の弟の裕二に親戚が集まった場でビールを飲みつつぼやく様に言った。二人共三十代後半である。
「うちの下の娘のな」
「愛子ちゃんかい?」
「ああ、上の美子はすくすく育ってるのにな」
「別に何処もおかしくないだろ」
「小さいだろ、クラスでダントツに低いんだぞ」
「小学校でもか」
「中一になったよ、けれど美子は背が高くて剣道部で段も取って大会でも勝ってな」 
 それでもというのだ。
「心配いらないけれどな」
「愛子ちゃんのことはか」
「別に成績もスポーツも問題ないけれどな」
「じゃあいいだろ」
「けれどな」 
 それでもというのだ。
「小さいのがな」
「心配か」
「姉妹で贔屓しないでしっかり食わせてるけれどな」
「あれだろ、俺達は大きいが
うちの母方の祖母ちゃん小さいからな」
「祖母ちゃんの血か」
「それだろ、健康で頭もスポーツも問題ないならな」
 それならとだ、弟は兄に自分もビールを飲みつつ話した。
「いいだろ、小さい位はな」
「気にしないことか」
「ああ、それはそれでな」
「それでいいか?」
「いいだろ」
 こんな話をした、この時はこれで終わったが。
 十年後だった、親戚の墓参りの時にだった。 
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