第五十九話 夏の盛りでその十五
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「その場でどれだけ美味しいか」
「それが大事だから」
「それでよ」
「アレンジして」
「美味しくなってるのよ」
「こうした場所で食べてもね」
「そうよね、そういえば」
ここで理虹はこんなことを言った。
「織田作之助さんの世相って本読んだらね」
「ああ、夫婦善哉で名物カレー出した」
「物凄いカレー出たわ」
「どんなカレー?」
「闇市のカレーで」
理虹はまずは場所から話した。
「お皿の上にご飯ちょっと乗せてね」
「ちょっと?」
「そこに巨大なスプーン被せて」
ご飯の上にというのだ。
「そこにルーかけたね」
「ああ、ご飯を出来るだけ少なくして」
「売ってたのよ」
「凄いカレーね」
「終戦直後でね」
その時でというのだ。
「もうそうしたものもよ」
「あったのね」
「大変な時代だったから」
それこそ大勢の者が餓死する可能性が高かった、誰もが生きるか死ぬかの時代であったのだ。織田作之助はその頃の大阪も書いたのだ。
「それでね」
「そうしたものもあったのね」
「みたいよ、まあ昔のことだからね」
「今は違うわね」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「今あ普通によ」
「カレーライスにしてもハヤシライスにしても」
「食べればいいわね」
「そうよね」
「まあね」
かな恵も言った。
「今はそうした時代ってことで」
「普通に食べられるね」
「そうしたカレーがある時代もあった」
「そう頭に入れておけばいいわね」
「それでもう二度とね」
「そうしたカレーが出ない様にしたいわね」
「そうよね」
こうした話もしてだった。
五人は仕事の後はそれぞれの家に帰ってそこでの時間を楽しんだ。そこで食べるハヤシライスは実に美味いものだった。
第五十九話 完
2022・10・23
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