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第四話 神犬その十一

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「地の龍七人の御使いの一人として」
「働くのですね」
「そうなります」
「そうですか、実はです」
 老人は庚自分と部屋のソファーに向かい合って礼儀正しく座っている膝までの赤いタイトスカートとそれと同じ色のスーツ姿の彼女に話した。
「霞月もです」
「彼もですね」
「夢で、です」
 その中でといのだ。
「玖月牙暁という人物に言われたそうです」
「地の龍の一人だと」
「はい、そしてその為すべきことも」
「そうだったのですね、その彼はです」
 庚は牙暁の名を聞いて答えた。
「実は地の龍の一人です」
「その人もですか」
「まだ迎えていませんが地の龍の一人であり」
 そうしてというのだ。
「地の龍の夢見です」
「そうなのですか」
「夢を見てそこから未来もです」
「見ることが出来るのですか」
「はい、ですからお孫さんになりますか」
「実は亡くなった娘の卵子にです」
 老人は沈痛な顔で話した。
「やはり亡くなった婿の精子をです」
「受精させて」
「そのうえで誕生させ」
 そうしてというのだ。
「育てて来た子でして」
「そうでしたか」
「亡くなった娘夫婦の忘れ形見としてです」
 その形でというのだ。
「これまで育ててきましたが感情が」
「乏しいのですか」
「頭は非常によく身体能力も高いですが」
 それでもというのだ。
「何かこう人の感情やそうしたものがです」
「理解出来ませんか」
「はい、学校にも通わせてきたのですが」
 それでもというのだ。
「素性を知られたくなく特殊な学校にです」
「通わせておられますか」
「クランプ学園の」
「あの学園ですか」
「特殊な学科に通わせていてほぼ一対一で教育を受けていますが」
 それでもというのだ。
「感情の類はです」
「見られないですか」
「そうでしたが」
「感情のことはどうも言えないですが」
 庚は表情を変えず答えた。
「私の専門外なので」
「だからですか」
「はい、しかしです」
「地の龍としてはですか」
「戦ってもらいたいのですが」
「わしい断わる権利はありません」
 老人は庚に達観した様に答えた。
「それが運命ならば」
「それならですか」
「はい、あの子をこの世に出したことも」  
 このこともというのだ。
「思えばです」
「運命ですか」
「わしは娘とその婿を愛していました」
 心から、そうだという言葉だった。
「まさに。ですが二人を事故で失い」
「せめてですね」
「二人の子だけでもと思い」
「生み出されたのですね」
「試験管の中で赤子とし」
 そうしてというのだ。
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