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第四話 神犬その七

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「僕もそう思います」
「そやな、それで戦いやが」
「水が入りましたね」
 空汰に微笑んで述べた。
「僕は水使いですが」
「ははは、水使いだけにか」
「お水のことには敏感でして」
 それでというのだ。
「この度はです」
「水が入ったさかいか」
「はい、再びですが」
「また今度やな」
「そうしましょう、では空汰君も嵐さんも」
 彼女にも声をかけた。
「この度はこれでということで」
「これでやな」
「またお会いしましょう」
「ほなな」
「はい、また一緒に食べましょう」
「今度はきつねうどんどないや」
「いいですね、関東のおうどんはお口に合いますか?」 
 遊人は空汰に気さくに尋ねた。
「あちらの方にはと思いますが」
「何かつゆが黒いんやったな」
「真っ黒ですが」
「それで味もやな」
「辛いと思いますが」
「まあ美味しいとこあったら紹介してくれるか?」
「調べておきますね」
 これが遊人の返事だった。
「そちらも」
「ほな頼むわ」
「では今度はこちらも連れてきますので」
「合わせて四人でやな」
「食べましょう」
「そうしよな」
「ではまた」
「会おうな」
 二人で手を振って別れた、それが終わってだった。
 空汰と嵐は道の上に降り立ったがここでだった、嵐は空汰に顔を向けて彼にこんなことを言ったのだった。
「親しいのかしら」
「仲は悪くないな」 
 空汰も否定しなかった。
「一緒に食ったんはたまたま相席になってな」
「それでなの」
「そやけどな、お互い悪い印象はないわ」
「そうなのね」
「敵同士でもな」
 それでもとだ、空汰は話した。
「嫌いかっていうと」
「そうではないのね」
「嬢ちゃんも悪い印象受けんかったやろ」
「ええ。特にね」 
 嵐もこう答えた。
「そうだったわ」
「敵同士でもな」
「天の龍でも地の龍でも」
「悪い人やないことはな」
「わかるのね」
「結局あれや」
 空汰はこうも言った、二人で神威の下宿まで歩きつつ。
「人にはそれぞれの考え立場があってな」
「正義もなのね」
「それぞれや、それでや」
「あの人は地の龍として戦っているのね」
「わい等は天の龍でな」
「それぞれの立場で」
「それで敵同士やけどな」
 それでもというのだ。
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