第八十三話 フランクヴルトにて
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
対策をしてないとも限らないし、念には念を入れての方法だった。
ギギギ、と宝箱を開けると、クーペはギョッとした。
開けられた宝箱の蓋の裏には『アン・ロック返し』と呼ばれるマジックアイテムが取り付けられていた。
このマジックアイテムは、『アン・ロック』の魔法をかけると、逆に警報を鳴らしたり、罠を作動させる為のアイテムだ。
(読みどおり)
と、ほくそ笑み宝箱を検めると、中にはエキュー金貨の入った布袋が数個と、大量の帳簿だけが入っていた。
(はずれか……ん?)
違和感を感じたクーペは、もう一度よく宝箱を調べると、微妙だが宝箱の底が数サント浅い事に気が付いた。
(もしや……)
と思い宝箱の底を入念に調べると、『ガコ』、と宝箱の底がずれた。
宝箱の底は二重底になっていたのだ。
二重底の下には、帳簿とは明らかに違う別の書類が入っていた。
クーペが書類を取り出して軽く目を通すと、その書類はロトシルトの裏の部分が書かれた書類であった。
書類の一つには、戦場以外では役に立たないフランケン大公に成り代わり、妻のゾフィーと彼女に取り入ったロトシルトが、フランケン大公領の実権を握るの為に、どの様な人間に賄賂を送ったかのデータや、その計画書など様々な書類が入っていた。
(ロトシルトを脅迫するのに役立つが、今欲しいのはその書類ではない)
これらの書類はロトシルトを嵌め落とすのに大いに役に立つが、クーペの本来の仕事はロトシルトがトリステインに接近した理由だ。
クーペは100枚以上ある書類に目を通しながら、トリステインに冠する書類を捜すと、とある一枚を見つけた。
その内容は、東部ゲルマニアの政情不安に対し、将来的に起こるであろうゲルマニアに政情不安を自分の利益のために使用する計画だった。
内容は内乱が発生する前に、大量の食料や武器などを買い占めておき、いざ内乱が起こった際には、品不足から物資の価格が高騰するまで倉庫に溜めておいて、『売り時』と見たら放出する……と掻い摘んで言うとそういう計画だった。
(……トリステインに近づいた理由は、食料と武器の調達と失敗した際の寄生先の選定という訳か)
そして、クーペは直感した。
(商人としてはまったく正しい。だが、この男は危険だ……!)
自分の利益の為ならトリステインどころか自国すら食い物にする。
フランケン大公に寄生し、散々金を吸い取った後にその触手をゲルマニア全土に広げ、宿主が危なくなるとトリステインに取り入る。
金で買ったとはいえ、貴族にしてくれたゲルマニアに対し、内乱を止める訳でもなく、己の利益に持って行こうとする愛国心の欠片もない、金が全ての寄生虫……
「……とミランの旦那辺り
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ