第八十三話 フランクヴルトにて
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ロトシルトは、だいぶ昔からフランクヴルト市で影響力を持ち続けているようだった。
「最近じゃ、妙な占い師を城に呼び出したりしてるし、いい加減にして欲しいぜ」
男達はそれぞれ悪口を言い合うと、メイド長が部屋に入ってきた。
「さあ、皆さんお話はそれまで。ハンナさんの事は私に任せて早く仕事に戻ってください」
メイド長がパンパンと手を数回叩くと、『ウェーイ』と声を発し、使用人たちがそれそれの仕事に戻っていった。
「ヨゼフィーネさんも、早く戻って掃除を済ませてしまいなさい」
「分かりした〜」
クーペは最後にハンナと呼ばれた少女の方を見ると、ハンナは目を覚ましたのか少しだけ目が合った。
「メイド長。彼女目を覚ましましたよ?」
「分かったわ。早く戻りなさい、奥様に見つかったら同じ目に遭わされるわ」
「はい=〜」
クーペは掃除に戻って行き、テキパキと掃除を終わらせた。
幸い、フランケン大公夫人に目を付けられず、クーペは空いた時間を使って大公の城の諜報に専念することが出来た。
☆ ☆ ☆
夜になると、城の敷地内に大きな馬車がやって来た。
「旦那様だ! 旦那様がお戻りになられたぞ!」
「急げ急げ! 正面入り口だ!」
使用人一同は正面玄関に相当する場所へ集められた。
ガラガラと音を立てて四頭引きの馬車が入り口で止まった。
通常の馬車とは明らかに違う巨大な客室のドアが開き、中から二メイルを越す巨人が降りてきた。
『お帰りなさいませ旦那様!』
『お帰りなさいませ!』
列を作って並んだ使用人達は、口々に巨人の労をねぎらった。
その列にはクーペも混じっていて、頭を下げて他の使用人たちに習って巨人の労をねぎらった。
(あれがフランケン大公……)
本来の歳は五十を越えているはずだったが、巨体とそれに見合った筋肉のせいか三十代のに見えていた。
彼、フランケン大公カール16世の逸話は多く、特に戦場での勇猛ぶりは、永らく敵対していたトリステインにも届くほどだ。
トリステインの烈風カリンと引き分けたほどの魔法の実力者で、トリステインとゲルマニアとの間に起こった数々の紛争では、英雄王フィリップ3世の戦術を、個人的武勇で撥ね返したも一度や二度ではない。
休戦後は、その武勇でトリステインだけでなく、もう一つの大国ガリアもけん制し、緊張状態という平和が二十年ほど続いていた。
そんなフランケン大公だったが……
「ゾフィーは今何処にいる?」
「奥様は、ご自分のお部屋でワインをお楽しみ中にございます。お
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