第二部 1978年
影の政府
米国に游ぶ その4
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を刺激するようなことをすれば、困ったことになる。
君の方で、何とか阻止することは出来んかね」
「私の方で、国防省に掛け合ってみますよ。
日本国籍を有する者及びその配偶者は、何人たりとも他国の軍事産業や研究に協力出来ないという省令を出させる様、働きかけましょう」
専務は、下卑た笑みを浮かべながら、一気に酒を呷る。
そして、ついに本音を漏らした。
「これで、篁もミラ・ブリッジスも身動きできますまい。ハハハハハ」
「なるほど。ハハハ」
さて、同じ頃、マサキと言えば。
翌日も、白銀と共に、ニューヨーク観光に出掛けた。
昼頃から南華茶室という中華料理の店にいた。
人気店だが、3人以上だと予約が可能と言う事とで、白銀の知人の日本人青年を誘って、奥座敷に居た。
白銀から紹介された人物は、涼宮宗一郎という青年で、身長は170センチ越え。
早稲田卒で、北海漁業で通訳をした後、外語大に再入学し、フルブライト奨学生としてコロンビア大に留学したという異色の経歴の持ち主。
紺のツイードの背広上下に、灰色のハイネックセーターだが、逞しい体が一目瞭然だった。
ラグビーで鍛えた筋肉の付き方は、サッカーなどをするほかの留学生とは違った。
真冬のベーリング海で、蟹漁師の屈強な男達に混ざって、米ソ両国の漁船団員の通訳をしたという話は、まんざら嘘ではなさそうだ。
「白銀さんもお元気そうで。そちらの方は」
会釈をする涼宮に、マサキは、
「まあ、掛けろや」
そう言って、「ホープ」の箱を取り出し、ガスライターでタバコに火を点けた。
マサキは、涼宮という青年をじろりと見回した。
短く刈り込んだ髪型に、濃くて太い眉。力強い目に、逞しく張った顎。
篁程の美丈夫ではないが、ピンと伸びた背筋に、分厚い胸板という精悍な風貌。
露語専攻の留学生というより、武闘家というような雰囲気を放っていた。
マサキは、何処か安心感を感じていた。
逆にその方が、自分の駒として使いやすそうに思えたからである。
通り一遍、自己紹介をした後、涼宮は、にらみつける様にして、
「貴方は……、本当に軍人なんですか」
と訊ねて来たので、マサキは、目を爛々と輝かせ、
「職業軍人ではないが、俺の利益になるときは、日本政府の為に動く。
そして、政府も其れを追認する」
「貴方の噂を聞いた事があります」
「どんな話だ」
「世界を股にかける闇の戦術機乗り、悪魔の天才科学者」
「ハハハハハ、闇の戦術機乗りか!気に入った。ハハハハハ」
マサキは
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