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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
同志-ともにあゆむもの-
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そう言ってパンをかじり、遠くを見つめる武蔵。
視線の先には遠くのテーブルでサーヴァントと仲良くしている、その強くなりたい少年を見ていた。

鈴鹿御前と仲睦まじくしている彼。
今では笑顔が絶えず、元気いっぱいと言った感じだがやはり昔に何かあったらしい。

「でもあんな幼い子がマスターなんて、なんか不思議じゃない?」
「ワケありだ。鈴鹿御前は兄の形見…だそうだ。」
「形見…?」
「あぁ。」

実は鈴鹿御前のマスター、田村 将は正式なマスターではない。
本来のマスターは彼の兄だった。
あるとき不慮の事故で兄は致命傷を負い、死ぬ間際に鈴鹿御前に令呪を行使し、弟を立派になるまで守ってやるように命令した。
それから紆余曲折あり、彼の大切だったものとして、将は兄から鈴鹿御前を受け継いだ。
世界崩壊時に両親や親戚一同を亡くし、トドメに唯一の肉親であった兄すら亡くした。
子供であれば立ち直れなくなるほどのショッキングな出来事だ。
しかし彼は今もこうして、笑顔を振りまいている。

「ずっと強い子だ。俺なんかよりもな。」
「そう?私はここまでしぶとく生き抜いた大和くんが強いと思うけど?」
「俺が生き残れたのはお前がそばにいてくれたおかげだろう。俺自身は強くない。」
「…サラッとそういうこと言う?」





?

「おはようクリス。少しは懐いたか?」
「まぁ…なんとか。」

レジスタンス達がまだ朝食にがっつく中、大和一足先に朝食を終えてオロバスがいるところを訪れる。
そこにいたのはクリスと呼ばれた背の低い青年。
あどけなさの残る中性的な彼はオロバスの身体をブラッシングしている最中だった。

「やっと体に触れるのを許してくれた感じ…かな。」
「とはいえ、このレジスタンスの中で気に入られているのはクリスくらいじゃないだろうか?」
「そうかなぁ…。」

オロバスの世話をしている青年の名は結 晶(むすび あきら)

名前と苗字をくっつけると『結晶』となり、そこからとって『クリス』というあだ名で皆から親しまれているレジスタンスの医師兼オロバスのお世話役だ。
そして彼も、こう見えてマスターである。

「最初は蹴飛ばされたりなんだったりでホント大変だったけど…。」
「時間が何とかするさ。そのうちオロバスだってお前やガウェインに背中を許してくれる時が来るかもしれない。」
「時間、ね……何十年後になるのやら。」


ここに来たばかりの頃、まず何よりもしなければならなかったことは足を負傷したオロバスの治療だった。
しかしオロバスは警戒心がとても強い。
見た覚えのない顔ばかりのここに連れてこられ、誰か近付こうものなら蹴飛ばしにかかった。
そんな中、意地でも怪我を治そうとしたのがこの男、
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