第二章
[8]前話
「出勤の時にそのまま忘れていたか」
「そうでしたか」
「ああ、奥さんからミーコがいなくなったってな」
「連絡きてますか」
「ラインでな」
「じゃあこれは」
「何時の間にか僕の車に入っていて」
山本は考えつつ話した。
「それで会社にまでな」
「来ていて」
「それで僕が車出る時に一緒に出て」
「今まで待っていましたか」
「そうかな、ミーコ帰るか?」
山本は今も恭子の車のボンネットの上に座っているミーコに声をかけた。
「今から」
「ニャ〜〜〜」
そうしたいという風にだ、ミーコは鳴いた。そしてだった。
山本はミーコに近寄り抱きかかえた、恭子はこの時に彼女が雌だとわかったがここで彼女は山本に言った。
「あの、奥さんにです」
「そうか、ミーコはここにいたってな」
「連絡しないといけないです」
「そうだな、すぐにな」
「連絡しますね」
「そうするよ」
形態を出してすぐにだった。
山本は妻に連絡した、するとすぐにだった。
「よかったってな」
「返事きましたか」
「こっちにいて僕が見付けて保護したって聞いて」
「それで、ですね」
「喜んでくれてるよ、しかし」
こうもだ、山本は言った。
「僕も奥さんも気付かない間に車に乗っていて」
「運転中も気付かれなくて」
「一緒にこれまたね」
「気付かれない様に出ていて」
「それでここにいるなんてね」
しみじみとして言うのだった。
「猫はわからないね」
「忍者みたいですね」
「全くだよ、これからは気を付けないとね」
山本はミーコを抱きながらしみじみとして恭子に言葉を返した、そして愛猫を連れて家に帰ってだった。
彼女が無事帰って来てほっとしている妻に詳しい事情を話した、それからだった。
ミーコにGPSを入れて所在がわかる様にしかつ家を出入りする時は彼女が傍にいて出ようとするかどうか確認を厳しくした、そうしてだった。
愛猫との生活を満喫していった、そして会社で恭子で話した。
「今日も朝から走り回っていたよ」
「元気なんですね」
「それでご飯を沢山食べていたよ」
「そうですか」
「そして出勤の時にはちゃんと家を出たり車に乗っていないか」
そうしたこともというのだ。
「確認してだよ」
「来られたんですね」
「そうだよ、全く目が離せないよ」
こうした話をしてだ、そのうえで仕事に励むのだった。何だかんだで愛猫のことを愛しく思いながら。
車のボンネットにいた猫 完
2023・1・23
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