第五十八話 祭りが終わってその十三
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「一番大事だからね」
「その為には何でもすることね」
「だって遭難してよ」
富美子はここでこうも言った。
「二人いてね」
「ああ、一人しか生き残れなくて」
「それでもう一人を切り捨ててもね」
「罪に問われないのよね」
「例え海で遭難して」
そうなってというのだ。
「船に一人が乗れなくて」
「それでもう一人を殺しても」
「もうね」
その場合はというのだ。
「仕方ないってね」
「なるのよね」
「極限状態ではね」
「それも仕方ないのね」
「それだったら」
「自殺もしない」
「そうよ、どうあがいてもね」
それこそ逃げても隠れてもというのだ。
「生きることよ」
「自殺なんてしないで」
「それが第一よ」
「そうなるわね」
「まあね、飲み過ぎてもね」
かな恵は笑ってこうも言った。
「身体壊すしそれでも飲んだら」
「死ぬわね」
「そうして自殺する人もいたそうね」
「飲んでわざとね」
「昔ね、もう自棄になって」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「飲んだくれて」
「そうしてね」
「身体壊して」
「それで遂にね」
「死ぬのね」
「まあこうした死に方は」
かな恵はさらに言った。
「自殺でもね」
「かな恵的には?」
「いいかもね、それで死ぬなら」
「自殺でもなの」
「お酒飲んで死ぬのなら本望かもね」
「そんなもの?」
「そうも思ったわ」
こう言いながら飲む、だが。
ここでビールがなくなってだ、かな恵は言った。
「もうなくなったし」
「そうね、じゃあね」
「ええ、今日はお開きで」
「また明日ね」
「そうしましょう」
笑顔で話してだった。
五人はビールがなくなったのを機にお開きとした、そしてそれぞれの家に帰ったがかな恵は一華から連絡を受けた成海が迎えに来た。そうしてそれぞれの家に帰ったのだった。
第五十八話 完
2022・10・15
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