第五十八話 祭りが終わってその十二
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「人間生きていてこそよ」
「何とでもなるでしょ」
「ええ」
理虹の話に頷いた。
「それはね」
「何があっても自殺したら駄目」
一華はここまで聞いて述べた。
「そうね」
「色々な状況があっても」
「絶対に逃げられなくて無茶苦茶な殺され方するならね」
「それならもう自分でって場合があっても」
「それはごく一部だから」
「やっぱりそう簡単にはよ」
かな恵は話した。
「しないことよ」
「何があってもって感じで」
「もうそうしないとどうした殺され方するかわからない限りはね」
「自殺しないことね」
「ええ、そう思うわ」
一華に真面目な顔で答えた。
「私はね」
「芥川も自殺しなかったら」
「ひょっとしたらね」
それこそというのだ。
「よくなっていたかもね」
「結核だったけれど」
「それでもね」
「まあ結核は大きいわね」
どうしてもとだ、一華は言った。
「当時は」
「それは仕方なくても」
「じゃあ結核でなかったら」
「それならね」
そうであればというのだ。
「長生きして」
「もっと沢山の作品残せたのね」
「そうなっていたかもね」
「そう思うと残念ね」
一華は心からこの言葉を出した。
「本当に」
「そうよね」
「まあね、自殺をする位ならね」
富美子は眉を顰めさせて語った。
「逃げてもいいわね」
「本当にそうね」
「自殺したら終わりだから」
その時点でというのだ。
「それ位ならね」
「逃げることね」
「逃げて」
そうしてというのだ。
「そのうえでよ」
「生きることね」
「生きることに執着しても」
そうしてもというのだ。
「悪いことじゃないでしょ」
「それはね」
「流石に他の人を蹴落として」
「それではどうかってなるけれど」
「自分一人のことでね」
そうであってというのだ。
「逃げたり隠れたりなら」
「自分が生きる為なら」
「何をしてもね」
「生きたらいいわね」
「生きるって本当にね」
一華に話した。
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