第五十八話 祭りが終わってその十
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「あの曲ね」
「あの曲作曲したスメタナもね」
彼もというのだ。
「梅毒だったそうよ」
「そうだったの」
「それで耳が聞こえなくなって」
梅毒では耳管が塞がる場合がある、ベートーベンの耳が聞こえなくなったこともそのせいだったという。
「頭もおかしくなって」
「それでなのね」
「亡くなったそうよ」
「そうだったのね」
「だから」
「梅毒で死ぬか」
「もう一か八か」
そうした危険な賭けをしてというのだ。
「助かるか」
「昔はそうだったのね」
「けれど水銀はまずいでしょ」
富美子は真剣に引いた顔で述べた。
「あれ本当にね」
「猛毒よね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「そんなの身体に入れたら」
「危ないわね」
「シューベルトが中毒になったのも」
それもというのだ。
「当然って言えばね」
「当然なのね」
「もう死んでも」
シューベルトの様にというのだ。
「おかしくないわ」
「そうよね」
一華もそれはと頷いて応えた。
「本当に賭けね」
「一か八かの」
「結核の肺を潰すのも」
こちらの治療もというのだ。
「そうしないと死ぬにしても」
「かなりよね」
「荒療治よね」
「生きるか死ぬかの」
そこまでのというのだ。
「かなりね」
「危ないわね」
「そうよね」
「けれど確実に死ぬよりね」
かな恵が言ってきた。
「一か八か、内臓を一部なくしてでもね」
「確実に死ぬよりましね」
「そうなるわよ」
「だから昔はそうしてたのね」
「ええ。ただ芥川さんって結核とか梅毒とか」
かな恵は彼に話を戻して述べた。
「病気とも縁があったのね」
「そうね、梅毒は本当かわからないけれど」
それでもというのだ。
「結核はね」
「何か信憑性あるわよね」
「当時多かったしね」
「太宰もなってたし」
「宮沢賢治もだったしね」
「多かったのよね」
「だからね」
国民病の一つであった、この結核と梅毒それに脚気が長い間日本の国民病で多くの者が命を落としている。
「芥川が結核でも」
「驚かないわね」
「そうよね」
一華はかな恵のその言葉に頷いた。
「沖田総司だってね」
「それで死んでるし」
「あの人が一番有名かもね」
「結核になった人はね」
それで亡くなった者はというのだ。
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