第五十八話 祭りが終わってその二
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「私も行ったのよ」
「そうなのね」
「ええ、しかし皆楽しかった?」
一華は四人の中に入って腰を下ろしてから尋ねた。
「お祭りは」
「凄くね」
留奈は笑って答えた。
「健ちゃんとね」
「健ちゃんね」
「そう、伊東健太君とね」
その彼と、というのだ。
「色々お話したのよ」
「そうだったのね」
「一華の近くの席にいたけれどね」
「そうだったの」
「あんた随分達川君と話してたわね」
「ええ」
そうだとだ、一華は答えた。
「そうだったわ」
「見えてたわよ、ただあまりね」
「見てなかったの」
「だってね」
留奈は一華に話した。
「私だってね」
「伊東君となのね」
「そう、お喋りをしてて」
そうしていてというのだ。
「しかも一緒に飲んで食べてだったから」
「そっちに忙しくて?」
「そう、それでね」
まさにその為にというのだ。
「あんたが達川君とお話したのは見ていても」
「それでもなのね」
「ちらりと見ただけで」
まさにそれだけでというのだ。
「別にね」
「意識しなかったの」
「そうだったのよ」
「そうだったのね」
「エールは送ったけれどね」
留奈は笑ってこうも話した。
「心の中で」
「そうだったの」
「うん、それはしたわ」
「有り難うね」
一華は留奈のその言葉を聞いて笑顔になって礼を述べた。
「心の中でそうしてもらっただけでね」
「嬉しかった?」
「ええ、今そう思ったわ」
実際にというのだ。
「本当にね」
「そう思ってくれたら嬉しいわ」
「ええ、私なんてね」
一華はビールの缶を開けてそこから直接飲みつつ話した、達川と一緒の時もかなり飲んだが今もそうした。
「もう周りはね」
「目に入ってなかったの?」
理虹が言ってきた。
「一華は」
「ええ、全くね」
「そうだったのね」
「寛君とずっと話して」
そうしてというのだ。
「ビール飲んで色々食べて」
「それで有意義なお話出来た?」
「かなり」
理虹にこのことは真顔で答えることが出来た。
「そっちはね」
「それは何よりね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「いや、人生のことをね」
達川と話したことを思い出しながら述べた。
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