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第五十七話 少しでも思うことその一

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       第五十七話  少しでも思うこと
 達川はビールを飲んでから一緒に飲んだ一華に話した。
「このビール美味しいよね」
「ええ」
 一華は実際に思った感想で答えた。
「そう思うわ」
「俺もだよ、何でもこう思うことが」
「美味しいって?」
「何でもね、それで満足することが」 
 それがというのだ。
「大事なことみたいだよ」
「今お話してる最低限のこと?」
「今話してる人不平不満ばかりで」
 それでというのだ。
「奥さんが作ってくれたものでも」
「食べさせてくれてる人が」
「そう、自分は働かないのにね」
 それでもといのだ。
「自分は所謂ヒモでね」
「簡単に言うとニートよね」
「それでも長年愛想を尽かさずにね」
 そうしていてくれてというのだ。
「生活費も出して」
「お料理も作ってくれてたの」
「その人が作ったものにも」
 その食べものにもというのだ。
「感謝しないでね」
「それでなの、食べさせてもらっていて」
「甘いとか辛いとか」
 そうしたというのだ。
「文句ばかりだったらしいよ」
「そうだったのね」
「それで人の部屋に勝手に入って本漁ってたっていうけれど」
「それも酷いけれどね」
「本を貸しても感謝しないで」
 それでというのだ。
「ああだこうだ偉そうに文句言うだけだったらしいよ」
「面白かったとか有り難うとかなの」
「借りてもね」
「言わなかったのね」
「もう有り難うは言わなくて」
 絶対にというのだ。
「何をしてもらってもね」
「感謝しなかったの」
「働かないしで」
「感謝しないで」
「それで恨みはね」
 これはというのだ。
「ずっと持っていてどんな小さなことでもね」
「爪切りとか?」
 奥さんが持って行ったそれをだ、一華は話に出した。
「そういうのとか」
「覚えていてね」
「言ったのね」
「そのうえで感謝なんてね」
「全くしなかったのね」
「それで教会とか言っても」
 宗教施設にというのだ。
「ご飯振舞ってもらって」
「お腹一杯食べて」
「ご飯何度もおかわりして」
 そのうえでというのだ。
「自分の煙草はいいもの吸って」
「高い?」
「それで一円もだよ」
「お供えしなくて」
「自分にはお金使っても」
 そうしてもというのだ。
「他の人には一切使わない」
「そこまでケチだったのね」
「そんな人こそなんだろうね」
「最低限のものさえ持ってないのね」
「そうなんだろうね」
「いや、あらためて最低だと思ったわ」
 一華はここまで聞いて心から思って言った。
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