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第四話 神犬その五

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「それに次ぐじっちゃんもな」
「そうなのね」
「わいが思うにな」
「僧正ご自身はどう言っておられるのかしら」
 嵐は語る空汰に無表情のまま問うた。
「一体」
「自分の星見のことをか」
「ええ、外れないと言っておられるのかしら」
「いや、じっちゃんが言うにはな」 
 本人はとだ、空汰は答えた。
「自分も人間やさかい」
「人は間違えることもあるわね」
「絶対の存在やない」 
 人間はというのだ。
「絶対のものがあるとすればな」
「神仏ね」
 嵐は伊勢の巫女の立場から答えた。
「そうね」
「そう言われた、そやからな」
「僧正様の占いも」
「じっちゃん本人が言うにはな」
「外れるのね」
「そう言ってるわ」
「そうなのね、では貴方も」
「いや、わいは死ぬわ」
 嵐に笑って顔を向けて答えた。
「じっちゃんの言うことはこれまで間違いはなかったさかいな」
「僧正様を信じておられるのね」
「その話された時その女の人が別嬪さんである様に願ってとも言うたけど」 
 僧正にというのだ。
「まあな」
「貴方はこの戦いで死ぬ」
「そのつもりや、この世界と姉ちゃん守って死ねるなら」
 空汰は何でもないといった調子で述べた。
「わいはええわ」
「そう考えてるのね」
「そや、ほな今からな」
「神威のところにね」
「行こか」
「そうしましょう、ただ」
 嵐は空汰に話した。
「貴方は死ぬと言われてもよ」
「それでもかいな」
「死に急ぐことはないわ」
 こう言うのだった。
「決してね」
「運命は決まってへんか」
「私は運命は一つと思うけれど」
 それでもというのだ。
「変に死に急ぐことはね」
「あかんか」
「ええ、人は必ず死ぬけれど」
「命あるものは絶対にな」
「死ぬその時までは」
「何でも必死にやらんとあかんな」
「そうしたものだから」
 それ故にというのだ。
「貴方もよ」
「わかってるわ、この戦いの最後の最後までや」
 空汰は嵐にまた笑顔を向けて笑って話した。
「わいもや」
「戦うのね」
「姉ちゃん守るにしても」 
 そのうえで死ぬにしてもというのだ。
「最後の最後までや」
「戦うのね」
「天の龍としてな、ほなな」
「ええ、今からね」
「神威のところに行こうな」
 こう話してだった。
 二人で神威の下宿先そしてそこに至る通学路に向かった。だがその通学路の途中に来たその時にであった。
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