芸術鑑賞はお静かに
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「!」
ドカン、と爆発が空気を揺らす。
回避したウィザードと可奈美。それぞれ、自らの体の感覚を確かめた。
「体が戻ってる……!」
「アイツがファントムを倒したからか……?」
ウィザードはそれを確かめ、さらに金髪の男が続ける攻撃に備える。
白い鳥が、何度もウィザードたちへ襲い来る。
「可奈美ちゃん! 俺の後ろに!」
『ディフェンド プリーズ』
「う、うん!」
これがウィザードの本来の魔法の出の速さ。
可奈美がウィザードの後ろに移動するや否や、発動した炎の防壁が、鳥の爆発を防いだ。
「ほう……見たところ、お前たちも摩訶不思議な力を使うようだな……うん」
金髪の男は、粘土の鳥から決して降りることはなく、ウィザードたちを見下ろしている。
「この街には、さっきの化け物といい、お前たちのような力を持つ者といい、平和ボケしている世界には不釣り合いな能力者がいる。どうやら、聖杯戦争って奴の力は、どこまでも大きいらしいねえ……うん」
「聖杯戦争のことを知っているということは……お前も参加者……!」
ウィザードは警戒を露わにする。
金髪の男は口を吊り上げながら、笑みを続ける。
「芸術家として、ちゃんとこの世には名前を覚えてもらいたいもんだ。デイダラだ。うん」
デイダラ。
彼はそう名乗ると、またポーチに手を入れる。
「小手調べだ。そろそろ歯応えがある参加者に会わねえと、このままオイラが勝ち残っちまうぞ! うん!」
「何だ……!? あの手……!?」
彼が粘土を放つ手。その中に、ウィザードは確かに口のようなものを見た。
「そらそらァ!」
デイダラが放った粘土は、鳥。
だが、先ほどまで武器として使われたものよりは大きく、彼が乗るものよりは小さい。
次は本気の攻撃ということだろうか。
「行くよ! 千鳥!」
可奈美は愛刀、千鳥の名を叫ぶ。
彼女の異能である写シの能力が、本来の持ち主に発動された。
白いオーラが可奈美の体を包み、そのまま上昇。迫ってくる鳥を両断し、爆発させた。
だが、可奈美の速度は爆発のタイムラグを超えている。粘土から爆炎が上がるころには、すでに可奈美はデイダラの目の前、鳥の上に降り立っていた。
「千鳥だと……?」
デイダラは耳を疑う様子を見せる。
「可奈美ちゃん!」
「分かってる! あの爆発を引き起こしているのは、あの腰の奴でしょ!」
「チィ!」
可奈美の手が伸びる。
抜群の反射神経を持つ彼女に、デイダラは敵わないようだった。
可奈美がポーチを掴むところを、デイダラはむざむざ見過ごすことしかできなかった。
「取れない……?」
「勝手に触るんじゃねえこのガキ!」
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ