芸術鑑賞はお静かに
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「デイダラさん!?」
「オイラの願いを聞きてえんだって!?」
さらに、デイダラはノータイムで粘土を放り投げる。
可奈美はギリギリのところで写しを張り直したことで、致命傷を避けた。だが、防御で差し出した両腕が爆発で傷つき、そのまま地面を転がった。
デイダラはその隙に、可奈美から離れる。
ポーチから粘土を取り出したデイダラは、それを直接口に運び、食らう。
「な、何をして……」
「可奈美ちゃん! 離れて!」
ハルトの叫び声に、可奈美は反射的に離れる。
手にした粘土を喰い終えたデイダラの肉体は、だんだんと肥大化していく。ゴキッゴキッと、肉体の組織が破壊されるような音も聞こえてくる。
「オイラの究極芸術だ……味わえ!」
「まさか……自爆するつもりか!?」
さっきまでの彼の爆発に対する思い入れから、それは容易に想像付く。
粘土ではなく、彼自身の自爆。
果たして、この公園から、人がいる範囲まで届く可能性があるのかどうか。
ハルトは変身する時間さえも惜しく、手に付いたままの指輪をそのままベルトにかざした。
「間に合ってくれ……!」
『キックストライク プリーズ』
赤い魔法陣から力を供給されながら、ハルトは走る。
デイダラの懐に潜り込み、その顎を蹴り上げる。
魔力によって底上げされた能力により、デイダラの体は宙へ浮く。
「悪いけど、自爆するなら一人でやってくれ!」
地面の魔法陣の助力をバネに、ハルトは大きくジャンプ。デイダラの体を何度も蹴り上げ、被害の少ない上空へ持ち上げていく。
「だったら……お前だけでも道連れだ! うん!」
「しまっ……!」
デイダラは、ハルトの右足を掴まえながら叫ぶ。
そして。
「オイラの芸術は……!」
「……!」
一瞬。
ハルトの眼が赤くなり。
「ハルトさん!」
「爆発だ!」
デイダラは、逃げ場のない空中で大きな体で、ハルトに覆いかぶさり。
爆発した。
爆発の影響は大きく、地上の可奈美は爆風に顔を覆った。
「ハルトさん!」
悲鳴を上げながら、可奈美は焼け焦げた粘土片を拾い上げる。
触るだけで熱さが残る粘土片に、可奈美はイヤな想像が過ぎる。
だが。
「ぐはっ!」
聞こえてくる、肉体が落ちてくる音。
見れば、全身を火傷したハルトの姿があった。
「ハルトさん!?」
彼が普段から使っていた革ジャンは、原型が残らないほどになっており、あちらこちらの皮がむけている。
「大丈夫!?」
「可奈美ちゃん……うん、平気……デイダラは……?」
「……」
可奈美は顔を反らす。
ハルトは頭上を見上げる。
爆炎の残滓が残
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