芸術鑑賞はお静かに
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ウィザードは即座に指輪を入れ替える。
『ハリケーン プリーズ』
爆煙を吹き飛ばす、緑の風。
エメラルドのウィザードは、氷と粘土片を吹き飛ばしながら、残った爆煙を晴らしていく。
「チャクラの感じが変わった……どうやら奴は、任意の性質変化になれるようみたいだな……うん」
そんなウィザードを見下ろすデイダラは、表情をピクリとも動かすことがなかった。
その前髪が風により靡き、小さなカメラのようなものが右目に装着されているのが分かる。
『コピー プリーズ』
「なるほどな……奴がさっきから使っている術のカラクリは、あの指輪にあるのか……」
ウィザードが発動した複製の魔法。
風のウィザードの姿が二人、四人と倍になり、四つの銃口から銀の銃弾が放たれていく。
デイダラが放った粘土の鳥たちは、次々に銀の銃弾により爆発していくが、デイダラはそれに表情を歪めることはない。
ウィザードの分身たちが消えたところで、デイダラはまたポーチに手を入れる。
「分身……いや、影分身か……千鳥といい、色々とムカつく記憶を思い出させてくれるぜ、うん」
「このままだとこっちもジリ貧だな……戦闘不能にとどめるだけとはいえ、あんなに爆発物をばらまく相手にどうすればいいものかな……」
「要は、あのポーチの粘土を使えなくすればいいんだよ。今度は、取り上げるんじゃなくて、千鳥で切り取る方向で!」
「またアイツの本体が粘土と入れ替わっていなければいいけどね……」
「……あっ! そうだ!」
可奈美は、思い出したように千鳥の底を叩く。
「ハルトさん! あの魔法、使ってみてよ!」
「あの魔法?」
「私が作った指輪! ホルスターに付いてるよ!」
「え? 結局指輪作っちゃったの!?」
ウィザードは驚愕しながら、ホルスターに付いている指輪を一つ一つ確認していく。
そして。
「これか!」
見つけた。
この中で唯一、ウィザードが作った記憶がない指輪。右手に嵌めたそれを、即座に起動させた。
だが。
『エラー』
「へ?」
だが、ウィザードライバーから返ってくるのは、エラー音。
魔力切れにでもならない限り、聞いたことのない音声に、ウィザードは言葉を失う。
『エラー』
「嘘!? ちゃんとゴーレムちゃんの指示通りに作ったよ!」
「よそ見とは、余裕だなあ! うん!」
そして、当然その隙をデイダラが逃すはずもない。
無数の小さな鳥たちが、ウィザードたちを爆撃していく。
「ぐっ……」
爆炎に傷つきながらも、ウィザードは可奈美がくれた指輪を、別のものと入れ替えた。
これは、確実に発動できる。そう確信しながら、ウィザードはハンドオーサーを操作した。
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