芸術鑑賞はお静かに
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デイダラは肘打ちで、可奈美の首筋を叩く。
だが、痛みに堪えながらも、可奈美はその手を放さない。
だが。
「これは……」
「また粘土……!」
さっきまで生きて動いていたように見えたデイダラは、全てが真っ白に変わっていた。
それどころか、デイダラが掴んでいた腕もまた粘土と化しており、完全に可奈美は動けなくなっている。
「そんな見え透いた弱点、対策しないわけねえだろ! バアアアカ!」
その声は、可奈美の足元から聞こえてきた。
見れば、彼女の足元___鳥の内部から、デイダラがその体を抜き出していた。
デイダラはそのまま、可奈美の足を掴む。
「ぐっ……!」
「このままオイラの芸術を味わいな! うん!」
デイダラはそう言って、その口から白い粘土を吐き出した。
可奈美の体を埋め尽くしていく白い粘土。あれが爆発すればという想像に、ウィザードは行動を急いだ。
「可奈美ちゃん!」
『ウォーター プリーズ』
すぐさま水のウィザードとなり、ウィザーソードガンの手の部分を開く。
「爆発物だったら……」
『ウォーター シューティングストライク』
「コイツで消火だ!」
ウィザードの銃口より、水の魔力を凝縮した弾丸が放たれる。
可奈美ごと、それは粘土に命中。大きく湿らせていく。
粘土は水による凝固で、その拡大が止まる。その隙に、ウィザードはさらに指輪を入れかえる。
『エクステンド プリーズ』
「掴まって!」
さらに発動する伸縮の魔法。
それは、粘土の中から可奈美を掴まえ、粘土の中から抜き出していく。
「いい手だ、だが……」
粘土を噛み切ったデイダラは、そのまま上空へジャンプ。即、手で印を結んだ。
すると、空中の粘土の塊は、煙とともにその形状を変化。
より大型の鳥となり、空中の可奈美へ向かっていく。
「なっ!?」
「オイラの爆発は、水遁なんかじゃ消せねえぜ! うん!」
鳥の人形に、見てはっきりとわかるほどのエネルギーが溜まっていく。
さきほどまでの爆発の規模。小型であれだけの破壊力を発揮したそれが、あの大きさになったことを考慮するだけでぞっとする。
「だったら……!」
『チョーイイネ ブリザード サイコー』
反射的に、ウィザードは氷の魔法を発動させた。
水のウィザード最強の魔法は、発生した魔法陣より強烈な冷気を発生させ、そのまま鳥の人形を凍結させていく。
「喝っ!」
デイダラが唱えると、氷に閉ざされた粘土が爆発。
氷が内側からの圧力に耐え切れずに粉々に砕け、日光に反射されて虹色に煌めく。
「いいねえ! 即興にしてはなかなかのアートじゃねえか! うん」
「次だ!」
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