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星河の覇皇
第八十三部第一章 防衛ライン到達その三十九

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「一般市民は攻撃しない」
「例え戦略上重要な位置にいても」
「それでもですね」
「それはされないですね」
「それが最善でも軍事的にそうであってだ」
 そしてというのだ。
「政治的でそうでないならな」
「避けられますか」
「その時は」
「そうされますか」
「以前の私なら戦略を考えてだ」
 軍人のみだった時はというのだ、大統領という政治家でもある時はだ。
「それで終わっていたが」
「政治ですね」
「それが関わると」
「そちらからも考える必要が出るので」
「そこから変わりましたね」
「そうなってだ」
 そうしてというのだ。
「今の様に考えることになった、戦略的にそうすべきでも一般市民を巻き込むことはな」
「政治的にはあってはならない」
「統一してから政治を行うとなれば」
「どうしてもですね」
「あってはならないことですね」
「一般市民は戦争には関係ないですから」
「海への進軍はだ」
 アメリカ軍が南北戦争で行った作戦だ、南部連合の産業を徹底的に破壊しそれにより南部連合の国力を壊滅させ戦争継続能力を奪い合衆国に勝利をもたらす作戦だった。実際この作戦でアメリカは勝利を得た。
「私はしない」
「戦争に勝とうとも」
「それでもですね」
「それは出来るものではないですね」
「後のことを考えると」
「破壊することは一瞬でもだ」
 それこそ攻撃すれば終わりだというのだ。
「しかしだ」
「復興はそうはいきません」
「長い時間がかかります」
「それに予算も人手もかかります」
「大変な苦労が必要ですね」
「軍事施設を攻撃するのは当然だ」
 こちらはというのだ。
「だが民間施設は違う」
「それが相手の国力を奪うことでも」
「それであってもですね」
「行ってはならない」
「海への進軍の様なことは」
「しかもあれは自国民に行っていた」
 同じアメリカ人にというのだ。
「あれは恐ろしいことだな」
「全くですね」
「例え勝利を目指すにしても」
「それでもですね」
「ああしたことは出来ないですね」
「あの作戦で確かに戦争は終わった」
 南部連合は継戦能力を失い南北戦争は終わった、アメリカは唯一の内戦を終わらせることが出来たのだ。
 だがそれでもだったのだ、この戦争では。
「しかしだ」
「それでもでしたね」
「多くの一般市民を犠牲にしましたね」
「そうなりましたね」
「内戦とはいえ勝利の為には自国民も犠牲にする」
 アッディーンは苦い声で話した。
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