第五十六話 かなり飲んだのでその五
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「もうだよ」
「学ばないわね」
「こんな人こそね」
まさにというのだ。
「馬鹿だよ、仕事で致命的な失敗をして」
「クビとか?」
「そうなってもクビにした会社が悪いでね」
そう考えてというのだ。
「それでね」
「そのうえでよね」
「何故失敗したか、自分にどう問題があったか」
「失敗してクビになった理由を考える」
「その経験からね」
「それが出来ないとよね」
「本当の馬鹿だよ、俺肉屋さんで二週間働いて」
達川は具体的な例えを話に出した。
「明日から来なくていいって言われてそれが何でかわからないって人知ってるけれど」
「その人はどうなの?」
「親父が言ったよ、その人ずっと人が周りで必死で働いてるのに」
そうした状況でというのだ。
「一人だけぼーーーーっと突っ立って上向いてるだけだったって」
「ああ、働いている時にそうだと」
一華はその話を聞いてすぐにわかった、ビールを飲む手を止めてそのうえでそれは当然だという顔で応えた。
「もうね」
「俺もそれでわかったよ」
「クビになるのも当然ね」
「国立大学を出た人だけれど」
つまり学校の勉強は出来るがというのだ。
「それでもね」
「そうした人だから」
「働いてもね」
どうしてもというのだ。
「上手いかないんだ」
「そうなのね」
「今は身体壊して」
そうなってというのだ。
「その枠で雇ってもらっているよ」
「障害者枠ね」
「それでね」
「運がいいわね」
「この人偉そうでもないし色々問題はあっても」
このことは事実だが、というのだ。
「悪人かっていうと」
「違うのね」
「天狗じゃなくて」
先程話した様なというのだ。
「変な人でも道は踏み外してないし」
「何とかやっていけてるのね」
「もう最初から自分は偉いでふんぞり返って」
そうした有様でというのだ。
「経験なんて知らないというのはね」
「本当の馬鹿ね」
「そう思うよ、そうもでないなら」
「経験から学べるなら」
「馬鹿じゃないよ」
決してというのだ。
「俺はそう思うよ」
「まだね」
「いや、奥さんに逃げられて」
達川はさらに話した。
「学校の理事長さん達の所属している天理教の教会の信者さんだった」
「ああ、あの人ね」
一華はその人の話に顔を顰めさせて応えた。
「私会ったことないけれど」
「俺もだよ、けれどね」
「有名人よね」
「働かないでそれでいて尊大で」
「偉そうなことばかり言ってね」
「働かないことに我慢出来た奥さんも」
その人もというのだ。
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