第五十五話 本当の勇気その十二
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「もうね」
「考えただけでも怖いのね」
「そうだよ、期待を裏切るって怖いことだよ」
「尊敬されるならね」
「期待を裏切ったら駄目だけれど」
「それがわかっていないから」
だからだというのだ。
「そんなこと言うんだね」
「それで期待を裏切ったら」
一華はその場合のことも話した。
「失望されて尊敬から一転ね」
「軽蔑されるわよね」
「それって確かに怖いね」
「そうしたこともわかっていないって馬鹿の極みだし」
一華はこうも言った。
「私そんなこと言う人間になりたくないわ」
「恥知らずな馬鹿になりたくないんだね」
「それもそのレベル凄いから」
「恥知らずも馬鹿もだね」
「その両方がね」
まさにというのだ。
「凄いから」
「かなり高いレベルで恥知らずで」
「馬鹿よ、そんな人間になるなら」
それならというのだ。
「最初から馬鹿にされた方がね」
「いいね」
「まだね、恥を恥と思わなくなったら」
「そうした人はそうでもあるね」
恥知らずを超えてというのだ。
「人間として最低限のね」
「一番怖いって言うし」
「何かそこから物凄く腐るっていうね」
恥を恥と思わなくなった時最も恐ろしい腐敗がはじまるという、そうした有様になってしまった人間や組織も世の中には存在している。
「よくね」
「そうでしょ」
「怖い言葉だね」
「それでそんなこと言う人は」
「どんどん悪くなるんだね」
「自分を振り返らないし」
そうして反省せず行いをあらためることがなく、というのだ。
「どんな恥ずかしいこともね」
「するから」
「自分の為だけにね」
「だからだね」
「もうそうなったら」
恥を恥と思わなくなればというのだ。
「本当によ」
「人は何処までも腐って」
「もう人としての底をぶち抜いて」
そうしてというのだ。
「餓鬼にね」
「なるんだね」
「そう考えてるの、最近」
たこ焼きを食べまたビールを飲んでから話した。
「どうもね」
「それ多分正しいよ」
「そうなの」
「恥知らずで馬鹿でね」
どちらも極端なレベルでというのだ。
「あまりにも酷いとね」
「人は人でなくなるのね」
「それで餓鬼にね」
こう呼ばれる存在にというのだ。
「なるのよ」
「最低な存在よね」
「うん、餓鬼って浅ましい人がなるってね」
その様にというのだ。
「言われていて」
「それでよね」
「餓えと渇きに苦しめられるんだよ」
餓鬼でいる間常にだ。
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