暁 〜小説投稿サイト〜
試しに車椅子に乗ると
第二章

[8]前話
「こちらはよけられないですし」
「身体全体ではね」
「はい、それに」
 克美はさらに話した。
「中々進めないです」
「遅いわね」
「かろうじてという位です」
「その状態でなのよ」
 どうかとだ、弥美は克美に穏やかな声で話した。
「バスに乗ったりするのよ」
「これでは階段も進めないですが」
「それでもよ」
「バスに乗ったりですか」
「するのよ、大変でしょ」
「はい」
 克美は心から答えた。
「本当に」
「これがね」 
 まさにというのだ。
「車椅子に乗るということよ」
「足腰が動けなかくなって」
「どれだけ大変かわかるわね」
「わかりました」
 克美はまた心から答えた。
「車椅子に乗るってこうしたことなんですね」
「そうよ、だからね」
 それでというのだ。
「そうした人のことをね」
「わかって」
「そしてね」 
 それでというのだ。
「私達の活動をね」
「していくことですね」
「ええ、そうしてね」
「わかりました」
 確かな声でだった。
 克美は頷いた、そしてそれ以降尚更だった。
 克美はボランティア活動に真摯に向き合うことになった、若し障害者に偏見を見せる人がいるとこう言う様になった。
「じゃあ試しに車椅子に乗って下さい」
「車椅子に?」
「そうしたらどれだけ大変かわかります」
「一体どれだけ大変なんだ」
「その時にです」
 こう言ってだ、その人が乗ると言うのなら乗せた。そうして実際にわかってもらう様にした。障害というものがどんなものか。


試しに車椅子に乗ると   完


                   2023・1・16
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ