第一章
[2]次話
下着フェチと変態の境目
サラリーマンの斎藤信也は所謂下着フェチである、それで交際相手のOLの西田望に対していつもこんなことを言っていた。
「また下着買いに行こうな」
「えっ、また!?」
望は明るい顔で言う信也に顔を顰めさせて応えた、短い黒髪を奇麗にセットしたはっきりとした顔立ちで顔は小さく顎と眉の形がいい。背は一六七位で実にメリハリが利いていて健康的なスタイルをしている。
「この前も買ったでしょ」
「俺が金出すからさ」
信也は明るく返した、信也は癖のある短い黒髪で何処となくマラドーナの様な髪型になっている。眉は太く丸い目で顎は四角い。鼻と唇は大きく望より十センチは高く筋肉質だ。
「いつも通り」
「それはいいけれど」
それでもとだ、望みは信也に返した。
「下着が多くなり過ぎて」
「そんなにか?」
「色だけで区分しても」
それでもというのだ。
「白に黒、赤、青、紫、緑、灰色、ピンク、オレンジ、銀に金によ」
「特撮の色制覇したか」
「したわよ。水色もライトブルーもあるしね」
「いや、凄いな」
「合わせて幾つ持ってるか」
その下着をというのだ。
「わからなくなってきたわよ、デザインなんてね」
「色々だよな」
「そんなに持ってどうするのよ」
「お洒落でいいだろ」
「それでも過ぎるわよ、箪笥一杯によ」
そこまでというのだ。
「下着持ってもね」
「仕方ないか?」
「というか何でそこまで下着買ってくれるのよ」
「決まってるだろ、好きだからだよ」
信也は笑って答えた。
「だからだよ」
「それでなの」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「だからな」
「それでなの」
「俺は下着買ってな」
「私に着させるのね」
「女の子の下着姿なんてな」
それこそというのだ。
「最高だろ」
「そこまでかしら」
「ああ、あそこまでぐっとくるなんてな」
信也はさらに言った。
「他にないだろ」
「下着姿が」
「そうだよ」
「そんなものかしら」
「少なくとも俺にとってはね」
「それって下着フェチって言わない?」
「そうかもね」
信也は否定しなかった、そして望に下着を買ってあげた。そのうえで下着姿の望と共に夜を楽しみもした。
だがある日だ、自分が女性の下着を口に含んだり使用済みのものを集めたり身に着けたりする性癖の男のことを聞いてこう言った。
「犯罪じゃないといいけれど」
「それでもなの」
「それって変態じゃないかな」
こう望に言うのだった。
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