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八条学園騒動記
第六百八十二話 マイナー国家の中のマイナー国家としてその五

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「目立つにはね」
「向いていないわね」
「そうしたものだね」
「そうなのよね」
 メアリーは困った顔で話した。
「つくづく思うわ」
「そうだよね」
「思い過ぎて」
 それでというのだ。
「動画チャンネルはじめたしね」
「そうだよね」
「サハラにいても」
 連合の外にいてもというのだ。
「独裁者って知られるわよね」
「ああ、そうだね」
「独裁者はね」
 二人もそれはと答えた。
「自分だけ贅沢する、弾圧、虐殺ってね」
「やりたい放題やったらね」
「勝手に皇帝名乗ったのもいたね」
「そんな独裁者は有名になるね」
「連合は他の国にあまり興味なくて」
 メアリーは連合のこの特徴のことも話した。
「サハラのこともそうだけれど」
「エウロパは敵と思っていて」
「マウリアは同盟国でもね」
「敵に警戒はしていても」
「連合の外の国には確かに関心薄いね」
「それでもよ」
 そうした国でもというのだ。
「やりたい放題、悪の限りを尽くしていたら」
「有名になれるね」
「連合においても」
「そうみたいよ、悪名はね」
 これはというと。
「悪事千里を走るで」
「有名になる」
「そうだね」
「いいことをしても有名になるけれど」
「悪政を敷いてもだね」
「有名になれるんだね」
「これまでもお話したけれど」
 メアリーは二人の従弟にそれでもと話した。
「悪名は無名に勝るよ」
「まさにそうだね」
「そういうことだね」
「だからね」 
 それでというのだ。
「ボカサみたいにしても有名になれるのよ」
「中央アフリカの独裁者だね」
 トムはボサカと聞いてすぐに応えた、二十世紀にアフリカ諸国が独立してから出て来た独裁者の一人だ。
「確か」
「ええ、軍隊にいて」
「その軍事力をバックにして権力持って」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「独裁者になって」
「やりたい放題して」
「挙句皇帝になって」
「即位式で馬鹿げたお金使ったんだったね」
「当時の中央アフリカの国家予算の二年分はね」
 それだけの予算をというのだ。
「使ってハーレムまで持って」
「今聞くと馬鹿みたいだね」
 トムは心から思って言った、シッドも同意して頷く。
「それって」
「ヒトラーやスターリンより酷いでしょ」
「品性を感じないよ」
「そうでしょ、けれどね」
「そこまでやってだね」
「今も知られているのよ」
 即ち歴史に名を残しているというのだ。
「こうしてね」
「僕達も知ってるね」
「他にもアミンとかメンギスツとか」
 メアリーはこうした名前も出した。
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