第五十四話 夏祭りその一
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第五十四話 夏祭り
夏祭りの日になるとだ、一華はアルバイトに行く前の朝に母に言った。
「お母さん、今日団地の夏祭りだけれど」
「あんたも出るでしょ」
「その時浴衣着ていい?」
「浴衣?」
母は思わず聞き返した。
「何年ぶりかしらね、あんたが浴衣着るなんて」
「いや、私浴衣の着付け出来ないから」
それでとだ、咲は母に答えた。
「お母さんにいつも手伝ってもらってるから」
「悪いって言うの?」
「そう思ってね」
「親子でしょ、そんな遠慮はいいわよ」
母は笑ってかな恵達が言った通りのことを話した。
「別にね」
「そうなの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「もうよ」
「気にしないで」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「着付け位してあげるから」
「いいのね」
「じゃあ浴衣出しておくわね」
「そうしてね」
「ただ中学の時のだけれど」
「背は変わってないからいけるわよね」
「スタイルも?」
母は一華を上から下まで見て言った。
「いけるかしら」
「大丈夫でしょ」
「あんた結構成長してるけれど」
中学時代と比べてというのだ。
「いけるかしら」
「浴衣だし大丈夫でしょ」
それならとだ、一華は母に返した。
「胸とかは」
「目立ってもいい?」
母は娘にさらに問うた。
「そうしたところが」
「いや、そこまで目立たないでしょ」
「わからないわよ、ただ着てみないとね」
実際にそうしないと、とだ。母は言った。
「わからないわね、とりあえずアルバイト言ってきてね」
「それから帰ったらね」
「浴衣出しておくから」
そうするからというのだ。
「その時にね」
「着ればいいわね」
「ええ、じゃあまずはね」
「アルバイト言って来るわね」
「そうして来なさい」
こう言ってまずは一華を送り出した、そして送り出された彼女もまずはアルバイトに専念した。そうしてだった。
家に帰るとその浴衣を着るが。
丈は会っていてだ、一華は少し残念そうに言った。
「やっぱり背は伸びてないわね」
「そうね、中学の頃から」
母もそれはと答えた。
「やっぱりね」
「女の子ってすぐに成長止まるわね」
「小五辺りから大きくなるけれど」
「背はすぐに止まるわね」
それはというのだ。
「もうね」
「女の子は他が大きくなる娘が多いのね」
「そうよ、ただあんたね」
上は白のブラで下はよく穿いている黄色の半ズボン姿で浴衣を着つけてもらっている娘にこう言った。
「よく知ってたわね、半ズボン穿くこと」
「浴衣を着る時に?」
「着物はそうしたら下着の線見えないのよ」
「このことかな恵達に教えてもらったの」
一華は素直に答え
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