暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第142話:二律背反の光
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した。

 もしこの時、ハンスにまだ幾分が猶予があれば、彼の次の行動はまた違っていたかもしれない。彼は自分のタイムリミットが近い事を察し、行動を焦ってしまったのだ。

 その焦りが、結果となって返ってくる。
 即ち、ガルドにタックルを受け止められるという結果でだ。

「なッ!?」

 あり得ないとハンスは驚愕に目を見開く。バッファマントはタックルもそうだし、地面を叩けば大地を揺らし周囲の敵を衝撃で地面から浮き上がらせることもできるほどのパワーがあった。そのパワーを一点に集めたタックルが、素手で受け止められた事が信じられない。

 何が起こっているのかとハンスがガルドを注視すれば、彼の手に奇妙な魔力が集まっているのが見えた。赤、青、緑、黄と色とりどりの魔力がガルドの両腕に集束している。

「これは、魔力が集まって……ハッ!」

 ガルドが変身するキャスターの最大の能力は、スタイルチェンジ無しで全ての属性の能力を最大限発揮できることにあった。それによりウィザードに比べれば遥かに臨機応変に様々な敵に対応する事が出来ていた。
 だがその一方、伸びしろと言う点で言えばキャスターは劣っていると言わざるを得ない。一芸に特化している訳ではないので、満遍なく能力が上回っている敵が現れた時にどうしても自力で劣ってしまう。キャスターと同様、ベースはそのままに様々な能力を付与して自身を強化するタイプで地力が上回っているビーストは正に彼が苦手とする相手であった。


 そんな相手が出た時の為、ウィズが考えたキャスターの強化案がこれだ。このコスモスタイルは、キャスターが使える4属性全ての能力を融合させた戦いが出来るスタイルだった。
 4つの属性を一つに合わせ、キャスター自身を大幅に強化する。それがこのスタイルの特性だ。

「今度はこっちの番だ……ハッ!」
「ぐぁっ?!」

 ハンスを押し退け、バランスを崩させたところで蹴りを放つ。強烈な一撃がハンスを大きく吹き飛ばし壁に叩き付けた。

「がは、ぐぅ……!?」
「おぉっ!」
「くっ!?」

 壁に叩き付けられ呻くハンスだったが、顔を上げれば槍を構えたガルドが突撃してくる。ハンスは咄嗟に剣を振るい槍を弾くと、一旦ガルドから距離を取り体勢を立て直した。
 そして指輪をカメレオンに交換する。仲間が居る状態ならともかく、1人しかいない彼などカメレオンマントの透明化による奇襲戦法で圧倒出来る。

〈カメレオン! ゴーッ! カカッ、カッカカッ、カメレオー!〉

 カメレオンマントを装着し、早速姿を消すハンス。彼が姿を消したのを見てガルドは周囲を警戒するが、目に見えない相手を警戒するのはとても難しい。案の定あっさりと背後を取られ、奇襲の斬撃を喰らい前のめりに倒れる。

「がっ!
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