爆発の美学
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き刺さっていく爆撃。地面に投げ出されたブラウニーを見下ろしながら、彼はさらに粘土を練り出した。
「っ!」
「体に教えてやるよ……」
彼はそう言うと、両手に生成した白い粘土を放る。
軽いパス程度に投げられた、ただの粘土の塊。それは、瞬時に煙を放ち、同時に蜘蛛となってブラウニーの頭部に張り付く。
「離すでありんす!」
彼が手のひらから出したのは、またしても蜘蛛。
だが、蜘蛛は彼の手にあるものだけではない。夥しい数の白い粘土製の蜘蛛が、ブラウニーの周囲に配置されていた。
「本当の芸術ってのをよ……!」
にやり、と笑む金髪の男。
無数の蜘蛛たちは、そのままブラウニーに張り付いていく。
「ひ、ひいいいっ! 離れるでありんす!」
「蟲爆喝砕っ!」
金髪の男が唱える。
すると、ブラウニーに張り付いた蜘蛛たちが次々に爆発。
果たして、どの段階でブラウニーの命が断たれたのかは分からない。
人形のように踊りながら、宙へ飛んで行くブラウニーの体は、みるみるうちに破壊されていく。やがて最後には、木端微塵。蜘蛛の爆発とともに、消滅した。
「まさに……儚く散りゆく一瞬の美。……うん」
金髪の男が満足そうに頷き、ウィザードと可奈美を見下ろす。
あまりにも一方的な破壊。
「ハルトさん……」
それは、可奈美の声。
姿が戻っている。元のウィザードになっている。
ウィザードも可奈美も、本来の戦闘態勢に戻ることができたのは。
「お前たちにも、芸術を教えてやる! うん!」
金髪の男が、こちらにも鳥の粘土を投げてきてからだった。
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