第52話:父親
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うと,ヴィヴィオは頷いた。
「うん。ヴィヴィオ泣かないよ」
「そっか。えらいなヴィヴィオは」
俺はそう言ってヴィヴィオの頭をなでてやる。
すると,ヴィヴィオはえへへと笑っていた。
「立てるか?」
俺がそう聞くと,ヴィヴィオは頷いてゆっくりと立ち上がった。
ぱっと見たところ怪我はないようだった。
俺がヴィヴィオの服についた汚れを払ってやると,
ヴィヴィオはなのはとフェイトの方に走っていこうとする。
俺は片腕でヴィヴィオを抱きかかえるように止めると,
俺の方を向かせた。
「さっき走って転んだろ?ママたちは逃げたりしないから
ゆっくり歩いていこうな」
「でも・・・」
そう言ってヴィヴィオはなのは達の方に顔を向ける。
俺はヴィヴィオの顔を俺の方に向けさせると,少し厳しい顔を作った。
「さっきは転んで痛かったよな?」
「・・・うん」
ヴィヴィオはこくんと首を縦に振る。
「ヴィヴィオはまた痛くなりたいか?」
「・・・ううん」
「じゃあ,ママ達のところにはゆっくり歩いていこう」
「・・・うん!」
俺がヴィヴィオから手を離すと,ヴィヴィオはなのは達の方へ歩いて行った。
が,なのはに近くなるとヴィヴィオは再び走り出した。
今度は転ぶことなく,かがんで両手を広げているなのはに飛びついた。
「やれやれ」
俺はその様子を見て立ち上がり,膝についた土を払うとアイナさんと共に
なのは達の方へ歩いて行った。
「ゲオくんはヴィヴィオのパパみたいね」
アイナさんがそう言うと,なのはの隣に立っているヴィヴィオはなのはを見た。
「ゲオくん,ヴィヴィオのパパ?」
「どうかな,ゲオくんに聞いてみたら?」
なのはがそう言うと,ヴィヴィオは俺の方を見た。
「ヴィヴィオは俺がパパでいいのか?」
ヴィヴィオは少し考えると,俺に向かって頷いた。
「よし!じゃあ今から俺がヴィヴィオのパパだな」
俺がそう言うとヴィヴィオは,にぱっと笑った。
「ヴィヴィオは父親の概念を理解してるんですか?」
俺が小声でアイナさんに尋ねると,アイナさんは頷いた。
「幼児向け番組を見て,だいたいは認識できているみたいですよ」
「そうですか」
俺はそう言うと,なのはとじゃれているヴィヴィオを見遣った。
「父親ね・・・」
俺は自分の両手を見つめて呟いた。
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