第五十二話 体力があるのでその十三
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「力を持ってね」
「マフィアになったのね」
「警察は法の番人でしょ」
俗に言われている言葉である。
「法律がないと動けないのよ」
「そうよね」
「けれど自警団はそうじゃないから」
「法律で動いてないから」
「だから勝手なことをしようと思ったら」
その時はというのだ。
「簡単にね」
「マフィアになるのね」
「ヤクザ屋さんがやってもよ」
「元のヤクザ屋さんになるのね」
「まあ神戸の場合は元々ね」
それこそとだ、理虹は話した。
「ヤクザはヤクザって言うけれど」
「それだったのね」
「そう、だから今もね」
「あそこにいるのね」
「神戸にね」
元々神戸港の仕事の斡旋からはじまったという、ヤクザ者はこうしたことからも利益を得ていたので港町に多いのだ。
「どんといるのよ」
「どんとなのね」
「そう、どんとね」
妹にオウム返しの様に答えた。
「まさにね」
「そうなのね」
「まあ本当にヤクザ屋さんがそんなことする位なら」
自警団を組織して一般市民を守る様な状況になればというのだ。
「かなりね」
「危ない状況で」
「あんたもそうなったらね」
その時はというのだ。
「お外を一人どころか二人でもよ」
「歩けないわね」
「危なくてね」
まさにその為にというのだ。
「冗談抜きで核戦争後の世界と一緒よ」
「モヒカンが暴れ回ってる状況と」
「そうだから」
「一人どころか二人でもなの」
「団体で歩いて」
そこまでしてというのだ。
「やっとでしょうね」
「終戦直後はそうした意味でも大変だったのね」
「食べものがなくて」
まずこの問題があったことは言うまでもない。
「それでよ」
「しかも治安も悪い」
「そんな状況だったから」
「私達のひいお祖父ちゃんひいお祖母ちゃん達も大変だったのね」
「そうみたいよ、お家だってね」
これもというのだ。
「なかったしね」
「ああ、空襲で燃えて」
「大阪も随分やられたし」
阪神工業地帯だったこともあり神戸と共にかなりの爆撃を受けたのだ、それで街全体が焼け野原になったのだ。
「大阪城の周りなんてね」
「何か天守閣だけ残って」
「もう他はね」
「瓦礫の山だったのよね」
実加も言った。
「確か」
「そうだったしね」
「お家もなくて」
「もう何もかもが滅茶苦茶だったから」
「治安もそんなのだったのね」
「それで闇市も出来て」
そうしてというのだ。
「そこで物々交換とかでよ」
「ものを手に入れていたっていうわね」
「そうみたいよ、けれど今はね」
「戦争終わって七十年以上経って」
「昔のことで食べものもお家もあって」
理虹は今の話に移っていった。
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