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イベリス
第八十一話 教師の質その十

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「あの娘はしっかりしているしな」
「だからよね」
「一緒にいられたらな」
 それならというのだ。
「一緒に見て回るんだ」
「そうするわね」
「一人より二人でな」
「お姉ちゃんが一緒なら」
「頼れるからな」
 愛、彼女はというのだ。
「だからな」
「一緒にいるわ、これからも」
「ああ、人を外見で判断することもな」
 どうかとだ、父はこのことも話した。
「よくないな」
「そうでしょ、お姉ちゃんいいでしょ」
「しっかりしていて頭がよくてな」
「だから私は最初からね」
「信頼してだな」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「一緒にいて何かとお話聞いて」
「勉強もだな」
「してるのよ」
 愛に教えてもらってというのだ。
「ずっとね」
「そこはお前の方がわかっていたな」
 愛のことはというのだ。
「外見だけで判断しないで」
「それね、人ってね」
 どうしてもとだ、咲も話した。
「外見だけだとね」
「判断出来ないか」
「幼稚園の頃学校に凄く怖そうな先生いたの」
 咲は子供の頃の経験から話した。
「ゴリラみたいな」
「そうだったのか」
「物凄く大きくて筋肉質で」
 そうした体格でというのだ。
「岩みたいなお顔で」
「怖そうだったか」
「けれど誰よりも優しくていい先生だったの」
「そうだったんだ」
「若い男の先生でね」
 その先生はというのだ。
「後でゴリラも凄く優しくて大人しい生きものだってわかったし」
「ゴリラはそうだな」
 父もこのことは知っていて言えた。
「実はな」
「優しいのよね」
「ああ、大人しくてな」
 そうした生きものでというのだ。
「頭も凄くいいんだ」
「そうよね」
「完全な菜食主義でな」
 このことは生物学的にはっきりしていることだ、ゴリラは何があろうとも肉や魚昆虫も口にすることはないのだ。
「暴れたり襲ったりな」
「そんなことしないよね」
「絶対にな」
「そのことも知ったし」
 成長してというのだ。
「怖そうでも」
「凄く優しいな」
「そうした生きものだって知ったし」
「外見で判断しないか」
「外見で判断したらニホンザルの方が大人しそうよ」
「ニホンザルは怖いぞ」
 その名前の通り日本に棲息しているこの猿はというのだ。
「だから気を付けないとな」
「近くに寄ったら危ないわね」
「日光の猿だってな」
 関東在住なのでこちらの猿の名前を出した。
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