第五十一話 暴力の代償その九
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「どうもね」
「自分もなのね」
「みたいね、どうも」
「桑田さんと全く違うわね」
「あの人の方が評判悪かったのよ」
「そうだったの」
「プロに入って最初の頃はね」
その頃はというのだ。
「片方はアイドル選手で」
「球界をしょって立つ若きスターね」
「それで桑田さんは入団の経緯もあって」
これは巨人のフロントに問題があったことが明らかになっている、このチームの邪悪さはフロントに原因があることは知られている。
「評判悪かったのよ」
「そんなに?」
「ええ、スキャンダルもあったしね」
これはどうもマスコミがあることないこと書いた結果らしい。
「評判の悪い人だったけれど」
「それが今は」
「評判いいでしょ」
「ええ」
留奈もその通りと答えた。
「理論派で勉強家でね」
「真面目って評判でしょ」
「家族も大事にする」
「それがよ」
かつてはというのだ。
「悪いイメージが付きまとうね」
「そんな人だったの」
「それが真面目に野球をしてきて」
「それを皆見て」
「それでなのよ」
「評判よくなったのね」
「それで世間の評価も逆転したのよ」
これもというのだ。
「片やあの有様で」
「わかりやすい言葉で」
「桑田さんは球界きっての理論派で」
そうしてというのだ。
「学者みたいな人でしょ」
「真面目で穏やかで」
「そう言われる様になったのよ」
「そうなのね」
「人は見てるしね」
母はこうも言った。
「だから何を言われても真面目にやっていったら」
「何時か皆認めてくれて」
「暴力振るったり悪いことばかりしていると」
「ああ言われるのね」
「そうよ、だからあんたもね」
「そこは気をつけろっていうのね」
「桑田さんみたいになれとは言わないわ」
母はそれはと述べた。
「人の道は踏み外さない」
「そのことがなの」
「お母さんが言うことよ」
「暴力とか」
「そんなのは絶対に駄目だからね」
「自分がしても駄目で」
「それでそれを振るう人とはね」
またこの話をするのだった。
「付き合わないことよ」
「それが大事あのね」
「そうよ、何度も言うけれどね」
「わかったわ、気を付けるわね」
真面目な顔でだ、留奈は答えた。
「そうした人は」
「一見わからないけれどね」
「結婚してからわかることもあるって聞いたけれど」
「そうよ、ただ暴力振るう人はね」
母は真面目な顔で話した。
「お酒飲むとね」
「暴力振るうの」
「そうなることが多いから」
「一緒に飲むといいのね」
「そう、それでわかるわ」
こう留奈に話した。
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