第五十一話 暴力の代償その四
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「ああなるわよ、最後は」
「わかりやすい言葉ね」
「あの人も悪いことしてきたら」
「報い受けたのね」
「警察に捕まってね」
「悪い人生を送った果てってことね」
「そういうことよ、もう見るに堪えない位酷いでしょ」
今の彼はというのだ。
「本当に」
「昔のあの人知ってる人そう言うわね」
「昔は違ったからよ」
「西武の頃は」
「高校野球の頃もね」
この頃もあくまで普通であった。
「その頃から今を見たら」
「見るに堪えないのね」
「そうよ」
「そこまで酷くなったのね」
「あれが悪く変わるってことで」
それでというのだ。
「悪いことをしてきた人の顔よ」
「そういうことね」
「あの人何十億も稼いだのよ」
現役生活でだ、名球会にまで入る程活躍したことは事実だ。
「けれどね」
「そのお金もなのね」
「自分で何処に行ったって言う位によ」
「使いまくったのね」
「そんな馬鹿な人生ないわよ」
何十億もの金を散財する様なというのだ。
「ああなったら人間終わりよ」
「幾らスポーツ選手として凄い結果を出しても」
「それでもね」
「そうなのね、しかし暴力にしろ悪いことにしろ」
留奈はしみじみと考えて述べた。
「お顔に出るのね」
「人相にね」
「そのこと覚えておくわね」
「そうしたらいいわ、誰だって悪い人生送ったら」
暴力や悪い行いに明け暮れたそれをというのだ。
「悪い人相になるのよ」
「そういうことね、しかしね」
「しかし?」
「どれだけ元の顔がよくても」
留奈はご飯を食べつつ話した。
「生き方が悪いと人相が変わってなのね」
「悪いお顔になるのよ」
「どんな美形でも」
「人間四十になったら自分の顔に自信を持てって言うのよ」
母はこの言葉も出した。
「リンカーンが言ったけれどね」
「南北戦争の時の大統領ね」
「アメリカのね、それはよ」
「生き方が出るってことね」
「四十位になったらね」
「それで元のお顔がよくても」
「悪い人生だとね」
「そういうことね、あのプロ野球選手もだし」
彼の今の顔を脳裏に思い浮かべつつ述べた、面長でサロンで焼けさせそのうえで白い頬髯や顎鬚を生やしている柄の悪さが出ている顔をだ。
「人生がお顔作るのね」
「そういうことよ」
「自分のお顔を」
「ヒトラーだってそうでしょ」
この独裁者もというのだ。
「ちょび髭なかったらどうかしら」
「あの有名な」
「ちょっと想像してみたらいいわね」
「あっ、何か」
留奈は頭の中でヒトラーの顔からあの髭をなくしたものを想像してみて述べた。
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