第五十一話 暴力の代償その三
[8]前話 [2]次話
「あるのよ」
「そうなのね」
「だから暴力はね」
それはというのだ。
「絶対によ」
「振るったら駄目ね」
「それに暴力を振るってる人の顔見るのよ」
母は太刀魚の身を箸で取った。
そうしてから口に入れてご飯のおかずにしつつ話した。
「酷いお顔してるでしょ」
「醜いっていうのは」
留奈もそうした時の人間の顔を思い出して答えた。
「ああした表情ってこと?」
「その通りよ、それでいつも暴力を振るっていたらね」
「その表情が固まるの」
「それで悪いお顔になるのよ」
「よく生き方は顔に出るっていうけれど」
「それは人相でね」
「悪い生き方だとなのね」
母にこう言った。
「悪い人相になるのね」
「目の光とか雰囲気もね」
「悪くなるのね」
「だから暴力をいつも振るってると」
「悪いお顔になって」
「悪い目の光になってね」
そうしてというのだ。
「悪い雰囲気によ」
「なるのね」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「暴力は振るったら駄目なのよ」
「自分の為にも」
「悪くなりたくなかったらね」
人としてというのだ。
「そうすることよ」
「そのこともわかったわ」
「そんなことしたら幾ら元の顔立ちがよくてもね」
「悪いお顔になるのね」
「そうなるのよ」
「そういえば元プロ野球選手でもいるわね」
留奈はふとある人物のことを思い出して話した。
「自称番長の」
「桑田さんと一緒に言われた人ね」
「あの人なんかは」
「そうよ、西武の頃は普通だったのがね」
「巨人に行って変わったっていうけれど」
「あれはそこで生き方が思い切り悪くなってよ」
「ああなったのね」
「まさにサンプルよ」
彼こそはというのだ。
「後輩で地味な感じの選手いじめる様なことしたりね」
「したりして」
「ああなったのよ」
「何で周りは止めなかったのかしら」
留奈はこのことが不思議だった。
「誰が見ても悪くなっていってたのに」
「周りもおかしかったのよ」
「あの人だけでなくて」
「自称番長とか言ってね」
そうしてというのだ。
「碌でもないことしてもそれを持て囃したのよ」
「だからどんどん駄目になっていって」
「ああなったのよ」
「周りも馬鹿だった」
「そうよ、悪い生き方になっても」
「誰も止めるどころか持て囃す」
「それも駄目だから。暴力も駄目で」
そしてというのだ。
「他の悪いこともね」
「駄目で」
「それでよ」
「ああはならないことね」
「絶対にね」
まさにというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ