人の着替えの場所なんて分かるわけない
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きたね……」
聖杯戦争。
それは、この見滝原の地で行われている、たった一つの願いをかけて殺し合う、魔術師たちの殺し合い。
参加者たちはそれぞれサーヴァントと呼ばれる異世界の英霊を召喚し、最後の一人になるまで殺し合う。そして、最後の生き残りに対しては、万能の願望器たる聖杯が願いを叶える。
ハルトは真司と、可奈美は友奈と、それぞれマスター、サーヴァントの契約をしており、ともにこの聖杯戦争を戦い抜いている。
「ハルトさんは、結局今も蒼井晶ちゃんを探しているの?」
見滝原公園の湖。
一度は干上がったこともあるその場所を眺めながら、隣のハルトは尋ねてきた。
蒼井晶。サーヴァントを失い、一度は聖杯戦争から脱落した参加者だが、最近別のサーァントと契約し、その姿を現したのだ。
「……いや。今の彼女は、多分何言っても聞かないでしょ。それに、彼女にはサーヴァント……時崎狂三がいるからさ。だから今は、同じ蒼井でも別の人を探しているんだ」
「別の人?」
「うん。蒼井えりか」
それは、ほんの先日、この見滝原中央駅で出会った参加者だった。
邪神イリスの苛烈な攻撃より、ハルトたちを助けてくれた少女。彼女がいたことで、こちらの被害も少なく済んだ。
「確かにあの子は、敵にはならないと思うけど……」
「だから一度、接触したいんだよね。あの時はイリスと戦っていたから、話す機会もなかったし」
「でも、手がかりある?」
ハルトの問いに、可奈美は両手を伸ばした。
「いや。場所が近いからこの公園には何度か訪れているんだけど、流石に見つからないな」
可奈美はそう言って、遊歩道を歩く人々へ目をやる。
老若男女、様々な年代の人々がいるが、可奈美が探している女子高生の姿はない。
「正直顔どころかシルエットも覚えているかどうか怪しいんだけどね」
探しても探しても、ほんの数週間前見かけたあの少女の姿はない。
やがて。
「うわっ!」
「おい! どこ見てんだ! うん!」
ぶつかった。
可奈美の視界は、黒。
やがてそれが、ぶつかった相手の上着だったことを理解した。遠くなれば、その黒い上着に無数の赤い雲が描かれているものだと気付いた。
そして、その持ち主。長い金髪が特長の男だった。右目を長い前髪で覆い隠し、その額には紋章に大きな傷が刻まれている。
「あ、ごめんなさい」
「ったく。気を付けろ。オイラの機嫌を損ねるんじゃねえ! うん!」
男はそう言って、帽子のように大きな三度笠を被る。下に伸びる飾り物が非常に多く、その視界を遮ってしまわないか心配になってしまう。
そ
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