人の着替えの場所なんて分かるわけない
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を赤くする。
「何を考えていたんだか……」
「で、でもっ! その……やっぱり着替えて欲しいというか……ほら、一日中同じ服ってそれはそれで嫌っていうか……」
「それはいいけど……可奈美ちゃん、この部屋をしっかり見てくれない?」
可奈美は、衛藤可奈美に割り当てられた部屋を一望させる。
ベッドと最低限の部屋。住み込みの従業員へ貸し与えられる物としては破格の1Kの部屋だが、窓の近くには可奈美の衣類が山を作り上げており、あまり触りたくない。
「どれに着替えろっていうのさ? いろいろ服と下着が同じ山にあるから、触るの遠慮してたんだけど」
「え? それは……」
ハルトはノータイムで服の山から、別の服を取り出した。
美濃関学院の制服、慣れ親しんだ剣道着のような白と黒の普段着、中心に白く「ねろ?」と書かれた黒い部屋着の合間から、水色のパジャマが現れた。
「これ」
「どこにあったんだそれ」
「最初からここにあったよ?」
「いや気付けないよ!」
可奈美は白目を剥いて叫んだ。
「えっと……それで、今日俺はどの服を着ればいいの?」
「? いつも通りこれだけど?」
「これ……あ、いつもの私服ね」
可奈美がそれを受け取ろうとベッドから降りる。一歩足を進めたところで。
「痛っ!」
「どうしたの?」
「何か踏んだ……」
可奈美が足を抑える。
何か、硬い金属製の感触が足裏から訴えてくる。短い持ち手の上には、クリスマスツリーのように無数の鈴が取り付けられている。
鈴祓いと呼ばれる神具だが、可奈美が所有しているそれは、能力、入手経路ともに普通の鈴祓いとは異なり。
「可奈美ちゃあああああああああああああああああああん!」
可奈美は叫んだ。
「な、何!?」
「これ無造作に投げ捨てちゃいけない奴! 千鳥と同じくらい大事にしなくちゃいけない奴!」
「だ、だからこうやって、いつも外に出る服と一緒に置いているじゃん!」
「よく見れば千鳥も一緒に投げ捨てられてるし! いや、昨日この部屋で寝ていて気付かなかった俺も悪いんだけど!」
「とにかく、着替えて着替えて!」
ハルトは、目を閉じながら私服を差し向ける。
可奈美はその服を受け取りながら、ジト目を浮かべる。
「可奈美ちゃん、逃避行していた時とか、ここに来るまで旅してた時とか、服どうしてたの? 同じ服ずっと着てたんじゃないの?」
「あの時は___姫和ちゃんが一緒だったり、独りだったりであんまり気にしかなかったけど…………ああもう!」
ハルトは地団太を踏み、首に立てかけてあったタオルを掴んで|可奈美《
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