第二部 1978年
影の政府
熱砂の王 その2
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製油設備も劣る彼等が、なぜ中近東とこれ程上手く行ったのか……」
「大君の影響力か」
「あのお飾りの将軍ではありません。彼の後ろに隠されている、皇帝の歴史的権威のお陰ですよ。
硬い扉の向こうから漏れ出て来る2000年の歴史の輝きは、200年の合衆国の歴史ではとてもかなうものではありません。
歴史的権威は、ローマのバチカン寺院に匹敵し、チベットの活仏、ダライラマの影響力をも凌駕します。
また、支那や蒙古人の襲撃を幾度となく乗り越えてきました。
その様な存在は、世界広しと言えども他には御座いません」
「買い被り過ぎではないのかね」
副大統領は、なお少し、ためらっている風だった。
弟は、瞑目して、考えこんでいたが、
「僕なりに考えました。
その権威を無傷で我が手中に収めれば、東亜と印度支那、いや、中近東を含むアジアの大半を血濡らさずして我が物に出来るのではないかと」
「それでお前は三極委員会という子供のごっこ遊びの団体を作ったのかね」
「そうです。
その上で、皇帝の権威と新開発のG元素爆弾があれば、欧州の片田舎に住まう貴族共を出し抜けるのではないかと」
副大統領も、遂に肚をきめた。
「フフフ、お前は甘い。政治家には向かないな。
だが、ディヴ。君の兄として、この私はその企みに協力しよう。
一族郎党の力を合わせて、我が理想の帝国をこの地球上に成立させようではないか」
そういうと、コーラの瓶をコップに開け、乾杯の音頭を取る。
「我等が理想の帝国の建設を祈って乾杯」
「乾杯」
コーラで唇を濡らした後、二人は詳細を話し合った。
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