第二部 1978年
影の政府
三界に家無し その4
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ました。
間もなくラザフォード場の発生装置の実験を行います」
そう言って、大型の遮光眼鏡を全員に渡した。
「これは……」
「会長、レーザー砲を用いた実験をしますので、遮光眼鏡の着用をお願いいたします」
男達は思い思いに遮光眼鏡を掛け、レーザー砲の実験を待った。
指揮所より、ファイバーレーザー砲に無線操作で、射撃指令を出す。
ファイバーレーザー砲とは、文字通り光ファイバーを束ねて作った光線銃である。
光ファイバーには、少ない損失率で光を長距離まで届けることができる特性がある。
研究所ではBETAのレーザー照射を模倣した低燃費、高出力レーザー砲を作り上げたのだ。
砲を、ジュラルミン製の装甲板に向けて、照射を行う。
その瞬間、G元素を入れた動力炉から発生させた特殊な磁場がジュラルミンを保護する。
無数の光ファイバーが束ねられた砲から打ち出された高出力なレーザーを受けても装甲板には傷一つつかなかった。
ロックウィードのレーザー・センサーシステム部門上級研究員でもあるムアコック博士が興奮した面持ちで語る。
「見ろ。この強度。
ラザフォード場で、戦略航空起動要塞を補強すれば、ゼオライマーなど」
脇に立つレヒテ博士も、驚きを隠せぬ様子であった。
「グレイ博士は、よくこんな物質を発見できたのですね」
レヒテの質問に、グレイ博士は淡々と応じた。
「この物質を発見しようとして、BETAの着陸ユニットを探ったのではない。
偶然、カナダの現地調査チームが持ち帰った残土の中にあった」
「カナダの調査隊が……」
「そうだ。着陸ユニットの落下地点を捜索した際の事だ。
捜索隊が地下に潜ろうとした時、放射線測定装置が異様な反応を示したのだ。
何かあると思った。それがきっかけで……」
ムアコック博士は会長の愁眉を開かせようと、安心させるようなことを口走った。
「ディヴさま。いえ、会長。
このG元素があれば、地球に、我等が理想の帝国を築くことになるのは間違いありません」
レヒテ博士も彼に続く。
「そうですとも。G元素を焚き上げた発動機から出るラザフォード場の強力なバリア体をつかえば、ゼオライマーなど簡単に倒せる」
ゼオライマーの名前を聞いた途端に、グレイ博士は、焦りの表情を浮かべる。
「甘い。ゼオライマーのメイオウ攻撃は、BETAのレーザー光線より遥かに強い」
「このG元素より、ラザフォード場より……」
諭すように言いながら、グレイ博士は、動力炉を見つめる。
「戦略航空起動要塞の機体は30Gぐらいまでしか耐えられん。
操作するパイロットの肉体は10Gを超えれば、厳しいであろう……
しかし、ゼオライマーは高速移動することを考えると、100G以上耐えられるはずだ」
脇に居る研究員たちは、一斉に驚愕の
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