第2部
ダーマ
シーラの意志
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た。
これが、シーラの本当の気持ち。普段本音を言わない彼女が放つ、私たちへのメッセージなんだ。
受け取らなければ。同じ目的を持つ仲間として。
「わかったよ、シーラ。ごめんね、変なこと言って」
「ミオちん……」
私は泣き腫らしたシーラの顔にそっと触れた。
「私はいつでもシーラの味方だから。シーラが転職したいのなら、私も協力する」
「……ありがとう……!」
「オレは最初っからこいつのために奮闘してたからな?」
横からひょっこりと顔を出してきたナギが、恩着せがましく口を挟む。
「な、仲間だかなんだか知らないが、何人で来ようと、転職は認めないからな……!」
「けっ、諦めの悪いオヤジだな」
「待って、ナギちん」
悪態をつくナギを手で制すると、シーラは私たちから離れて大僧正の前まで近づくと、突然しゃがんで土下座をした。
「!?」
「お願いです。一度だけでいいんです。あたしを僧侶に転職させてください」
「……!!」
シーラを見下ろす大僧正の表情が露骨に歪む。対して周りにいた僧侶たちが漂わせていた敵愾心は徐々に薄れ、憐れみや同情の目を向け始めた。
「……くっ! そうやって頭を下げても無駄だ!! おい、何をしている! こいつらを早くつまみ出せ!!」
「お、お言葉ですが大僧正、シーラ殿の気持ちを考えると、その……一度くらいは転職させてあげてもよろしいのではと……」
恐る恐る口を出したのは、門番のノールさんだ。彼は最初シーラを大僧正に会わせようとしなかったが、一連のやり取りを見て考えが変わったようだ。
「黙れ!! 私に指図をするな!!」
だが、顔を真っ赤にしながら、ノールさんの言葉を一蹴する大僧正。
シーラがこんなに懇願しているのに、一体大僧正はどうしたら認めてくれるのだろうか。
再びふつふつと怒りが込み上げてくる中、ふとユウリの背中が光っているのが目に入った。
「ねえユウリ! 背中が光ってる!」
「は?」
私の言葉に、何を言っているんだという顔をするユウリ。いや、私も自分で言ってて何を言ってるんだと思うけど、とにかく本当なんだもの。
埒があかない私は、急いでユウリの背後に回って背中を見る。すると、彼がずっと背負っていたイグノーさんの杖が光っているではないか。
「そ、その杖は……!!」
心当たりがあるのか、大僧正はその杖を見るなり口をパクパクと開けている。
ユウリも異変に気づき、杖を背中から外してまじまじと眺める。私の身長ほどもあるイグノーさんの杖は木で出来ており、ひとりでに光り輝くということはあり得ないはずだ。だが、杖は何かを訴えるように、青白い光を仄かに放っている。
その様子にユウリは何かに気づいたのか、手にした杖を大僧正の目の前に突きつけた。
「これは賢者イグノーが持っていた杖だ
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