第2部
ダーマ
シーラの意志
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、父様に認めてもらいたいんです!! だけど、マーリンに教えられてガルナの塔に行きましたが、宝箱には何も入っていませんでした!!」
「ガルナの塔……!? お前、ガルナの塔に行ったのか?」
シーラのお父さんは、信じられないものを見るような目でシーラに問いかけるが、彼女は答えない。彼女が欲しい答えは、それではないからだ。
「マーリン様!! 今こちらに来るのは危険です!!」
すると、シーラが探していた相手である、マーリンとかいう人物がやってくる足音が聞こえた。
「まさか姉上が本当にガルナの塔に行くなんて、正直驚いたな」
人だかりの向こうから現れたのは、先ほどの美少年僧侶だった。やはり、あの子がマーリンなのだろう。
「マーリン……!」
シーラの弟……マーリンは、怒りで顔を歪めるシーラを、見下すように眺めていた。それは、姉弟が再会するシーンとはほど遠いものであった。
「マーリン、どうしてあんな嘘を……?」
「嘘じゃないさ。僕はただ、悟りの書がある『らしい』といっただけ。明確な根拠もないのにそれを鵜呑みにして行動したのは姉上の方だろう。僕が責められる謂れはないと思うけど」
何だろう、このムカムカする気持ち。実の姉に向かって言う台詞ではない。どうしたらこんな言葉が出てくるのだろう。
「けど、僕は生まれて初めて姉上に感心したよ。こんな人間以下のクズでも、偉大なる祖父と同じことができたんだなあって」
人間以下の、クズ……!?
私は天使のような外見から飛び出す彼の衝撃の言葉に、耳を疑った。
「お祖父様と同じ?」
だが、普段から言われ慣れているのか、特に気にするそぶりも見せず、答えるシーラ。
「なんだ、自分の身内が成し遂げた偉業も知らないのか? お祖父様はダーマの一族が為し得なかった、ガルナの塔の攻略を、たった一人で成し遂げたんだ 」
マーリンは、まるで自分のことのように流暢に話し始めた。
「そもそもガルナの塔は、我々ダーマの僧が修行のために作られた修行場だったんだ。そこには我々の祖先が書き記したとされる悟りの書が保管されており、それを手に入れれば賢者になれる。我がダーマの一族の間では有名な話さ。僧侶としての道を途中で投げ出した姉上は知らなかっただろうけど、悟りの書のある場所までたどり着けた者はただ一人、お祖父様だけだったんだ」
やっぱり、シーラのお祖父さんはイグノーさんだったんだ。と言うことは、悟りの書を持っていったのは、イグノーさんだったんじゃ……。
「だが、塔を出たお祖父様は悟りの書を持っていなかった。当時お祖父様は悟りの書について何も語らなかったそうだが、こう話したと言う。『他人から得た知識だけでは、真の賢者とは言えない』と。それからお祖父様は父上に大僧正の位を一時的に譲渡し、旅に出た。そして、再びダーマに帰って
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