第四十九話 ラフな格好をその六
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「真面目に働かないで」
「それでそうした行いばかりですか」
「学校でも生徒に暴力振るってセクハラもね」
「していたんですね」
「それでお家でもそうで」
「最低ですね」
「それであんまりにも酷くて」
その父親の行いがというのだ。
「離婚になったの」
「離婚して正解ですね」
「鈴木さんもそう思うわね」
「そんな親といてもいいことないですよ」
かな恵はむっとした目になって言い切った、見ればその口は見事なへの字になっていてそこからも感情が見える。
「絶対に」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「イタリアってカトリックでしょ」
先輩は鍋をさらに見つつ話した、もうすぐ完成だった。
「カトリックって離婚はね」
「ああ、駄目でしたね」
「今は出来るけれど」
「それでもですか」
「書類手続きが大変で」
「中々離婚しにくいんですね」
「しかも裁判沙汰にもなって」
このこともあってというのだ。
「物凄くね」
「離婚するまで大変だったんですね」
「イタリアの離婚は大抵そうなるけれど」
「そんな奴でもですか」
「離婚するまでね」
「大変だったんですね」
「そうよ、お母さんは普通の人で」
その知り合いのというのだ。
「知り合い、私のクラスメイトで女の子だったけれど」
「女の人ですか」
「ええ、友達だったけれど」
それでもというのだ。
「その娘が十歳になった時に離婚したけれど」
「それまで暴力や浮気に耐えていたんですね」
「お酒やギャンブルでの散財もね」
「どう見て離婚するには充分ですよ」
「だからそれは日本のことで」
「イタリアだとですか」
「カトリックって言ったけれど」
宗教はというのだ。
「わかるでしょ、バチカンがあるのよ」
「バチカン市国ですね」
「まさにローマ=カトリック教会のお膝元だから」
「カトリックの力が強いんですね」
「かく言う私もカトリックで」
他ならぬ先輩自身もというのだ。
「いい教えと確信しているけれど」
「離婚のことはですか」
「中々面倒なのよ」
「簡単に出来ないんですね」
「結婚は神様が定めたことだから」
そうした教えでというのだ、このことは妊娠についても同じであり中絶もそう簡単には出来ないのだ。
「昔は絶対に駄目で」
「今も難しいんですね」
「そんな旦那さんでもね、教会に相談しても」
「やりなおす様にですか」
「大抵はそう言われてね」
それでというのだ。
「どう見ても更正なんてしない奴でもよ」
「一緒にいる様に言われるんですね」
「それで虐待され続ける場合もあるのよ、当然神父さん旦那にも言うけれど」
「更正する筈ないですね」
「そんな奴はね」
「どうしようもない屑は」
かな恵も言った。
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