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夢幻水滸伝
第二百六十九話 大雨の中の決戦その十

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 両軍損害は出ている、だが崩れない。巴はその戦局を見て話した。
「しかしミスを犯すこともです」
「あるな」
「人はそうです、こうした時は」
 巴はさらに言った。
「ミスを犯した方がです」
「崩れるな」
「そやからここは攻めてです」 
 それを続けてというのだ。
「そうしてです」
「敵の隙を伺うな」
「それが出来れば」 
 即ち南軍がミスを犯せばというのだ。
「一気にです」
「攻めていこうな」
「そうしていきましょう」
 こう言ってだった。
 巴は軍師役として魯を助け戦っていた、時折彼等も術を放って敵軍を攻撃することも忘れていない。
 だがそれは南軍も同じで。
 郭は軍師役に張を置き軍全体の采配を執っていた、そのうえで張に問うた。
「左翼の守り薄くなってへんか?」
「はい、確かに」
 張はそちらを見て答えた、二人共術で宙に浮かんでいる。
「そうなっていますね」
「それやとやな」
「はい、ここはです」 
 是非にとだ、張は郭に話した。
「第三十五歩兵師団をです」
「休憩させてたけどな」
「向かわせて」
 そうしてというのだ。
「援軍としましょう」
「あっちは攪乱やけどな」
「それでもです」
「そっちはな」
「はい、隙を見せるとです」
「牙を剥いて来る」
「それが明らかですさかい」
 だからだというのだ。
「守りが弱まってますので」
「援軍送ろうな」
「丁度第三十五歩兵師団の休養は充分です」 
 名前が出たこの師団はというのだ。
「そうですさかい」
「送ろうな」
「はい、そうしましょう」
 こう話して実際にだった。
 郭達も采配を執る、そして張も言うのだった。
「しかし。隙はです」
「見せられんな」
「これは相手もですが」
「こっちもな」
「隙を見せますと」
 その瞬間にというのだ。
「もうです」
「そこを付け込まれてな」
「一気に崩れます」
「戦がそれで決まるわ」
「まさに」
「今完全に互角や」
「そうですさかい」 
 だからこそというのだ。
「ここはです」
「隙は見せられん」
「そして作れません」
「絶対にな」
「左様です、ここはです」
「後れを取らん様にな」
「戦っていきましょう」
 こう話してだった。
 南軍も必死に戦っていった、そして夜になると。
 羅は一騎打ちを演じている施に言った。
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