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くらいくらい電子の森に・・・
第二章
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見知り機能』だ」
そうこう言っているうちに、ビアンキは画面の端から、かわいいレースのカーテンを引っ張り出して『しゃっ』と引いて隠れてしまった。紺野さんの顔がほころぶ。
「あーあ、すごい人見知りっぷりだな!…なぁ姶良」
「ん」
「…持ち主が呼ぶと、出てくるぞ」
「…インストールしてから呼ぼうよ」
「いいから呼べってば。…ビアンキー。……見ろ!ほら!カーテンの隙間からちょっと覗いたぞ!」
…最近、うすうす分かったことがある。

このひとは多分、手に入れたMOGMOGを売っていない。

高く転売するために並んで買ったものの、やっぱり自分で欲しくなって売るのをやめたのか、それとも、転売するというのはそもそも嘘だったのか。知る必要も今のところはないし、知りたいとも思わない。
でも紺野さんはどんなMOGMOGを育てているのか、ちょっと見てみたい気はする。語り合えないのは残念かな。

「インストール終わったぞ」
紺野さんの声でわれに返った。デスクトップに、タンスのようなアイコンが増えている。
「…これは?」
「ちょっと、クリックしてみろ」
紺野さんに促されてダブルクリックしてみると、タンスのアイコンがかぱっと開いた。…とても嫌な予感がする…最悪の事態に備えて音源をOFFにしようとした瞬間、水色にフリルと花柄のウインドウが「こかぽかぽん」という、木琴みたいな起動音と共に展開された。店員の女の子が、僕のパソコンにちらっと一瞥をくれて、怪訝な顔で通り過ぎる。
「……うわ」
「ほら、カスタマイズ画面が出たぞ!……何だよ、何で閉じる?」
「……理由が分からないか?」
若い男二人が、食い物屋で出された豚カツ食べないで、こんな萌え満載なソフト立ち上げているなんて明らかに異様だろう。
「まーいいから開けって。じゃ、まず手始めにコスチュームのチェンジだ♪」

…………コスチュームとか言い始めたよこのひと…………

誰とも目が合わない程度に、さっと周りを見渡す。隣のカップルと、紺野さんの後ろの老夫婦が、明らかに異常者を見る眼差しで僕らのテーブルをチラ見している。隣のカップルなんて「2次元界の住人はアキバに帰れ」くらいのことは思っている眼差しだ…ああ、やりきれない…紺野さんの手付かずの豚カツ全部食って逃げ帰ってしまおうか……

「ほら、かわいいコスチューム盛り沢山だぞー!?姶良、お前どれが好みだ!?」
…紺野さんは「僕が見やすいように」と、ウインドウを全画面表示にしてくれた…
もう店内の誰から見ても分かりやすいくらい、「MOGMOG着せ替えBOX♪」のかわいいロゴが大写しになった。…店員の女の子が、お茶漬け用の緑茶を、投げ捨てるように置いて行った。
「うわー、僕―、このレースふりっふりの花柄ワンピが好みかなーこん畜生!!」
もう
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