第二章
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してごそごそやりだした。キャベツをぼりぼり咀嚼しながら一応頷いて眺めていると、ラベルのついていないCDケースが出てきた。
「MOGMOG、カスタマイズソフトだ。…ネットで拾ったんだ」
「………」
僕は箸を止めた。それを「興味を示した」ととらえたのか、紺野さんは滔々と話し出した。…僕は僕で、「お茶漬け用の緑茶持ってきてもらうために箸を止めたと知ったら、すごいガッカリするだろうなぁ…」とさすがに気が引けたので、箸を置くことにする。
「お前が瞳の色を変えたように、MOGMOGはある程度カスタマイズが利くんだが、まぁ、色が変わるだけなんだよ。だがな、このソフトをインストールすれば、服装も変えられるんだ。それだけじゃない」「お待たせしましたー」
紺野さんが何か言いかけたとき、店員さんが「何か」を持ってきた。
「豚カツ茶漬けでございます!」
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………え?
コトリ、と紺野さんの前に置かれた、作りたての豚カツ茶漬け膳。
僕は……
「あの、もしかして……?」
紺野さんは、気まずそうに視線をそらすと、ぼそりと呟いた。
「なんか腹減ってるみたいだったから……言い出しづらくてな……まあいいじゃないか、同じものだし」
僕は手元の、半分に減った豚カツに視線を落とした。…つまり、こういうことか…
紺野さんが先に来て、先に注文していた豚カツ茶漬けを、後から来た僕が食べてしまったのか……
さ、最悪だ……
呆然としている間に店員さんは厨房に消えた。場の空気的に、お茶漬けを頼むタイミングを完全に逸してしまったので、腹をくくってMOGMOGのカスタマイズソフトの話を聞くことにした。
「…えーと、あのな、とにかく…このソフトで、服装や髪型、それに、性格属性までカスタマイズ出来るんだ!」
「へぇ…カスタマイズ……カスタマイズか……」
……なんだろう、なんか今、「嫌な感じ」がした……
「ノーパソ持って来てるだろ。ほら、立ち上げろ!」
紺野さんは豚カツを脇に押しのけると、僕のノートパソコンを勝手にカバンから取り出して電源を入れて、画面を僕のほうに向けた。起動時に僕の網膜が認識されないと、正しく立ち上がらないからだ。…そんなのあとでもいいじゃないか。それより、あったかいうちに食べちゃおうよ…と言いたかったけれど、そんなことを言い出せる空気ではない。
起動前に貰ったCDをディスクに挿入。…しばらくすると、起動時の青い画面が、ビアンキの笑顔に切り替わる。
「…………」
…いつもは「お帰りなさい、ご主人さま!」と出迎えてくれるのに、どういうわけか、しばらく小首をかしげて僕を見たきり、困ったように口をつぐんで動かない。
「……ウイルス?」
「俺がいるから。…対人セキュリティシステム、俗に言う『人
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