第二章
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つくことで有名な先生だ。できれば取りたくない授業だったんだけど必須だから仕方がない。この一年、わりと真面目に授業を受けてたし、余程のことがなければものの2時間で終了する!とたかをくくっていた。…だから、パソコンを立ち上げたのは、その日の夜遅くだった。
その頃はまだ動きがぎこちなかったビアンキが、僕に向かってぎこちないなりに、元気に微笑んだ。
「おはようございます、ご主人さま!」
…この頃の僕は、「ご主人さま」という言葉に照れてしまって、画面をろくに見られなかった。ぼそぼそと「おはよう」を返しながら、メールソフトを立ち上げる。
「……あれ?」
『商法課題テキスト』というメールは届いている。
なのに、添付ファイルがごっそりなくなっている。
添付忘れか?…いや、それはありえない!送信前に、わざわざ一つづつファイルを開けて確かめたんだから。
一応、何かをシャクシャク頬張ってる、僕のかわいいセキュリティ嬢に問い合わせてみる。
「ビアンキ……このメール、添付ファイルついてなかった……?」
ビアンキは、ナシらしき果物から顔をあげると、満面の笑顔で言い放った。
「はいっご主人さま!怪しい添付ファイルを、食べておきましたっ!!」
………え、ええええぇぇぇ――――――――――!! まじで!!!!
「たっ…食べちゃった!?」
「え?……だめだったんですか…!?は、はぁぁ……」
僕とナシを見比べながら、泣きそうな顔でオロオロしている。
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「……その、ナシ?」
「ごっ…ごめんなさい……食べちゃいました〜……あぁ〜……」
ビアンキは、顔をおおってしくしく泣き出してしまった……
僕だって半分食いかけたナシを見て、オロオロするのが精一杯だ。
…いや、そんな食いかけのナシとか差し出されても困るよ…
「…課題提出は一限だ…この教授、課題サボると単位貰えないんだよ……」
ビアンキは肩を落として、画面の隅でうずくまって泣き出した。
く、くそぅ、泣きたいのはこっちなのに先に泣かれてしまった……。
「くっ、仕方ない!ちょっと学校いって来るよ。ビアンキ、留守頼む!」
「ごめんなさい〜、本当にごめんなさい〜……」
その後、深夜に学校に忍び込んでセキュリティシステムを作動させてしまったかどで、警備会社のひとに散々油を絞られ、学生証のコピーを取られ、ようやく開放されたのは夜中の1時過ぎ。なんかもう散々な一日で、へとへとになって帰ってきたら、起動しっぱなしだったらしいビアンキが、せっせと何か作業をしている。
「ただいま……何やってんの」
「は、はい!申し訳ないので、なにかお役に立てればと思って……」
いい子だ。プログラムだとは分かってても、なんだか和む。
「ご主人さまのお気にいりそ
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