第二百六十九話 大雨の中の決戦その一
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第二百六十九話 大雨の中の決戦
決戦の日が遂に来た、すると。
朝の六時にはもう雨が降り出した、それが瞬く間に土砂降りになり。
羅は自身の天幕の中に集まっている仲間達に言った。
「全将兵にレインコートを着させてや」
「そのうえで、ですね」
「戦ってもらう、雨が降ってもな」
「今はですね」
「戦う、銃や大砲もな」
火器、火を使うが故に雨に弱いそうしたものもというのだ、羅は天幕の外の激しい雨音を聞きつつ話した。
「使ってくで」
「そうしますね」
「決戦の日は決まってたさかいな」
「もうそれは変えへんですね」
「ああ、当然足場もな」
そちらもというのだ。
「ぬかるんでどろどろになるが」
「それでもですね」
「やるで、銃には覆いをしてな」
「使う直前まで」
「濡れん様にして濡れたらな」
「すぐに拭く」
「あと出来るだけ銃は屋根の下でや」
簡易に設けたそうした場所でというのだ。
「用いるで」
「出来る限り濡れへん様にしますね」
呉が言ってきた。
「そうしますね」
「大砲もな、ただ騎兵はな」
主力の一つであるこの兵種はというのだ。
「この雨の中でもや」
「攻めますね」
「そうする、視界も悪いやろが」
それでもというのだ。
「騎兵には頑張ってもらう」
「果敢に攻めてもらう」
「攻める時はな」
「ただ敵もアホやないというかです」
屈も腕を組んで言ってきた。
「かなり賢い人等です」
「騎兵がこっちの主力でわかってるさかいな」
「備えは用意していますね」
「騎兵は機動力と衝撃力があってや」
羅は騎兵の長所を話した。
「攻撃力もかなりやが」
「しかしですね」
「それでもや」
こうした長所は確かに存在するがというのだ。
「足を止められるとな」
「それで終わりです」
「柵を設けたりして防いだら」
その突進をというのだ。
「それでや」
「終わりです」
「しかもこの雨やとな」
「馬の足が取られます」
「そのこともあるからな」
「迂闊に攻めることはですね」
「難しいのも現実や」
屈に難しい顔で話した。
「どうしてもな、しかしな」
「それでもですね」
「使うべき時は使う」
絶対にというのだ。
「ええな」
「わかりました」
屈は羅の言葉に頷いた。
「ほな」
「そうして攻めてくで」
「わかりました」
「あと術や風水師の力で出来るだけな」
羅は今度はこう言った。
「雨を弱めてくで」
「少しでもですね」
「雨の勢いが百から九十になっただけでもちゃう」
羅は莫に応えて述べた。
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