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剣の丘に花は咲く 
第五章 トリスタニアの休日
第六話 キス!?! キス?!? 
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 首を振るうアンリエッタに合わせ、頭に置いた手を動かす。

「無理じゃない……俺を信じろ」
「…………無理です……でも、どうしても信じて欲しいのでしたら、一つだけお願いがあります」

 ぼんやりとした顔で士郎を見上げるアンリエッタだったが、その瞳には切実な光が宿っていた。
 
「お願い?」
「もし、わたくしが何か愚かな行いをしそうになったら、また止めていただけませんか? あなたの剣でこのわたくしの身を切り裂いてでも」
「…………」

 胸に手を当てるアンリエッタを見た士郎は、一度ベッドから下りると、アンリエッタの前に跪くとしっかりとアンリエッタの目を見て誓った。

「誓おう。俺の全てを持ってして、必ずあなたを守ることを」
「守るって……そんな、わたくしは……」

 突然目の前で跪いた士郎を驚いた顔で見下ろしていたアンリエッタが、直ぐに正気に戻ると、士郎を起こそうと手を伸ばした瞬間、

 ドンドンドンッ!! という音と共に扉が激しく揺れ始めた。どうやらドアの向こうに人がいるようだ。士郎が腰をあげようとしたところで、ドアの向こうにいる人物が声を張り上げた。

「開けろ! 開けんか! 王軍の巡邏の者だ! 逃亡中の犯罪者を追っている! 部屋の中を確認させてもらう! さっさとドアを開けんか!」  

 士郎は後ろを振り向くと、頬を膨らませてドアを見るアンリエッタに声を掛けた。

「どうする、そこの窓から逃げるか? ってどうしたんだそんなに頬を膨らませて」
「……いえ、どうもしません。濡れるものなんです。ここは黙ってやり過ごしましょう」
「やり過ごそうというが……無理だと思うぞ」

 士郎の言葉通りに、ドアを叩く音は次第に激しくなり、とうとうドアノブが回り始めた。しかし、鍵は掛かっているので開けることは出来ない。ドアの向こうの兵士は、それでも諦めることなくノブを回す勢いを更に強くする。
 ドアが激しく揺れだし、今にもドアが壊れてしまいそうな様子に、アンリエッタはベッドから下りると士郎に向き直った。

「し、しかたありませんわね……シ、シロウ」
「ちょっと待て、一体何をしているアン」

 しかたないと言いながらシャツのボタンを取り外し始めたアンリエッタに、士郎が冷静にツッコミを入れると、アンリエッタは士郎を見上げ、ニッコリと笑い。

「んっ」
「んむっ?!」

 つま先立ちになり、自分の唇を士郎のそれに唐突に押し付けたのだ。目を見開き固まる士郎の首に手を回すと、さらに体重を士郎に掛けながら、自分のそれを押し付ける。
 思わず後ろに下がる士郎だが、ベッドに足を取られアンリエッタ共々ベッドの上に倒れ込んだ。硬いベッドに倒れると、それなりの衝撃が士郎たちの身に襲い掛かってきたが、アンリエッタは構
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